『Fate/Apocrypha』から学ぶ! 一番わかりやすい『FGO』原典紹介(中編)

『Fate/Apocrypha』から学ぶ! 一番わかりやすい『FGO』原典紹介(中編)の画像4『Fate/Apocrypha』(TYPE-MOON BOOKS)公式サイトより

■ホムンクルス(錬金術の伝説)
 錬金術や魔術を扱う創作作品にしばしば登場する、錬金術によって作られる人造人間「ホムンクルス」。ただその知名度に反して、本来のホムンクルスとは一体どのようなものなのか、ということはあまり知られていません。

 ホムンクルスとは、ラテン語で「小さな人」という意味であり、15~16世紀に活躍した錬金術師「パラケルスス」のみが唯一製造に成功したもの、と伝えられています。ホムンクルスについては、パラケルススの著書とされている『ものの本性について』に、その製法や外見、特徴など、多くの記述が残されています。

 この『ものの本性について』によって、人造人間ホムンクルスは世に広く知られることとなり、ゲーテの戯曲『ファウスト』などからはじまり、今なお数多くの創作作品へ登場するに至っているのです。

・やってみよう! ホムンクルス製造法

 それではパラケルススの著書から、どのご家庭でも実行可能な、ホムンクルスの製造方法をご紹介しましょう。

1. 蒸留器(球形のガラス瓶)に人間の精液を入れ密閉して保管、40日放置して、精液が生きて動き始めるまで腐敗させる。すると人間の形をした透明な、ほとんど非物体的なものが出現する。
2. これに毎日人間の血液を与えて慎重に養い、かつ馬の子宮の中と同じ温度に保つ。
3. そのまま40週間保存し育て続けると、それは本物の生きた子どもとなる。普通に生まれた子どもと同じく五体健全で、ただ小さいだけである。
4. ホムンクルスの完成。

 このようにして誕生したホムンクルスは、生まれながらにしてあらゆる知識を身に付けており、人間の言葉を理解し、さらには造り主の知らない新たな知識を与えてくれるといいます。

・ホムンクルスの正体とは?

 当たり前のことですが、これを実行に移したところで、名状しがたい謎の液体ができあがるだけです。ですが、パラケルススは錬金術師であると同時に、名高い医師でもありました。生物の生殖についての知識を持っていたはずのパラケルススが、実現不可能な全くのデタラメをわざわざ著書に残すとは考えづらく、この記述には何らかの裏の意味があるはずだ、と考えられています。

 数多くの考察がなされているホムンクルス製造法ですが、中でもフランスの神秘思想研究家「セルジュ・ユタン」の考察は特に興味深いものです。それによれば、ホムンクルスの記述はパラケルススが「賢者の石」に繋がる「金属の胚」の誕生を比喩的に語ろうとした、つまりパラケルススが研究した錬金術の秘技を暗に示している文章なのではないか、というのです。

 この他にも、20世紀最大の魔術師「アレイスター・クロウリー」によるホムンクルス製造法もありますが、要約すると「受胎後間もない胎児には魂が宿っていないので、それに魂が宿る前に精霊を憑依させ、肉体を持った精霊として出産させる」というものです。これは人造人間というよりは人造精霊、あるいは単なる出産と呼ぶべきものであるため、ここでは紹介を省きます。もっとも、こちらのほうがよっぽど確実に生命を作り出せる方法ではありますが。

――さて、いかがでしょうか。元ネタを知れば、キャラクターのエピソードや設定をより深く掘り下げられ、別の角度からも楽しめるようになるはずです。

 次回は、史実に名を残した人物などを原典としたキャラクターを中心にご紹介していきます。

■文・たけしな竜美
 オタク系サブカルチャー、心霊、廃墟、都市伝説、オカルト、神話伝承・史実、スマホアプリなど、雑多なジャンルで記事執筆、映像出演、漫画原作をしています。お仕事募集中です!
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