『サクラクエスト』2話 最初の町おこし失敗、サイト作ったくらいでお客さん来たら苦労はしません

――都会での仕事に憧れる20歳女子。就活全滅、ド田舎のよくわかんない独立王国の王様に就任させられて、饅頭売り残す。田舎の観光事情チェック好きなたまごまごが、まだ雪残る北海道から『サクラクエスト』全話レビューお届けします。*第1話レビュー

『サクラクエスト』2話 最初の町おこし失敗、サイト作ったくらいでお客さん来たら苦労はしませんの画像1『サクラクエスト』公式サイトより。下中に注目

第2話『集いし五人の勇者たち』RPGっぽく町おこし開始

 就活全失敗の木春由乃(こはる・よしの/演:七瀬彩夏)は、1日所長的な仕事だと思って間野山町に「国王」になるためやってきた。ところが話を聞くと、任期は1年。さすがに、帰る! と大慌て。

 2話では観光協会会長の門田丑松(かどた・うしまつ/演:斧アツシ)が、間違って1,000箱も発注した「チュパカブラ饅頭」を、賞味期限の1週間以内に売り切ったら、1年間の契約をチャラにしてやる、と言い出した。無茶振りながらもやらないわけにはいかず、東京帰還のために販売作戦を実行。

 観光協会で働く、間野山大好き四ノ宮しおり(しのみや・しおり/演:上田麗奈)。
 女優志望で夢破れ、東京から帰ってきた緑川真希(みどりかわ・まき/演:安済知佳)。
 オカルトなどの情報に詳しい引きこもり織部凛々子(おりべ・りりこ/演:田中ちえ美)。
 東京のIT企業に勤めていたWEBデザイナー香月早苗(こうづき・さなえ:演/小松未可子)。
 協力してくれそうな面々に声をかけて饅頭販売に挑むが、売れるはずはなかった。由乃、第一のクエスト失敗。

■最初にしては、やるじゃんこの娘ら

 まず最初に、町にオカルト要素(由乃は占い好き、凛々子はオカルトに詳しい)を付加して、「おしゃカルト」というコンセプトを作成。告知用WEBサイトを早苗が作成。しおりの案でPR動画も作ってアップ。
「吸血の森が育んだプティスイーツ、チュパカブラ饅頭」
「このおいしさ、おしゃカルト!(ドヤ顔)」

 あれ、悪くないじゃん。素材少ない期間ない見込みマイナスな惨状からの出発で、よく頑張ったよ。
 なにより、観光のコンセプトを見直そう、という意識があるのがいい。
 由乃「なんかこう、バーンとインパクトがあって、オカルトの雰囲気を漂わせつつも、おしゃれでかわいくて」
 デザイナーが言われて一番困るたぐいの、具体性のない注文! とはいえ、この町が引きずっているコンセプトにとらわれていないのだから、十分大したもの。何よりそれを具体的に形にした早苗は、すごい。

 一方、不良債権的に饅頭販売を押し付けた丑松会長は、ひょっとしたら大物かもしれない。
 観光業において、方針を一部でも変えるというのはものすごい困難。町のイメージや予算の問題で、協会や役所などからストップがかかりがち。なのに、彼女たちの活動に、彼はNGを一切出していない。

 由乃が成功したら、そりゃ丸儲けだっただろう。でもいくら由乃が失敗しようがなんだろうが、責任を負うのは丑松会長だ。
 今回の1,000箱余った饅頭も、結局町中に配った。ちゃんと買い取っている。早苗のWEBデザイン作業料も含めて、観光協会から活動の資金は出している。

■WEBサイトを作っても

 彼女たちに欠けていたものは、「ターゲット層の把握」「発信への貪欲さ」「地域に対する知識不足」。
 WEBサイトはいい線いっていると思う。けれど見に来てもらわねば意味がない。
 しおりの動画案は、昨今のヘンテコご当地CM(例・石田三成CM)をイメージしているんだと思う。「再生数は結構いった」と早苗が言っているので、ここは成功している。

 ただ、田舎町のWEBサイトをわざわざネットで掘り当てて、変な動画を面白がる層、となるとネットユーザーの中でもコア中のコア。そこ一点に絞るのなら、通販をすれば行けたかもしれないが、絞りきれてもいない。

 ターゲットを考え直すなら、地域新聞社やネットニュースを取材に呼ぶとか、InstagramやTwitterなどSNSで拡散してバズらせるとかもできたはず。
 早苗の「誤発注しました、助けてください!」案は、現実でもTwitterでたくさん成功(救済)例がある。これなんで拡散しなかったかなー。本当に誤発注だもの、もったいない。
 5人は今まだ、お客さんの顔が見えていなさすぎるのだ。

 チュパカブラ饅頭の素材は間野山産。とてもおいしい。その一番のポイントは、彼女たちの頭に一切なかった。
 地元に一切目が向いていないのは、致命的だ。

■正直すぎる女の子

 家にひきこもっていた凛々子が、由乃が自分の趣味に興味を示してくれたことで口元をモゴモゴ動かすのは、今回の名シーン。
『けものフレンズ』のサーバルちゃんのごとく、裏表なくしゃべる由乃の「すごーい」は、凛々子の心を開いた。

 由乃は正直というか、愚直だ。間野山に来ているというのに、他の人に堂々と、東京のほうがすごいと言っちゃう。失礼だ。この性格のせいで全社落ちたんじゃないか。
 一方で、素直に人を褒めることができる。楽しいことを楽しいと言える。
 この愚者っぷりは、町の人たちを動かす原動力になりそうだ。
 ポテチにしれっと漬物乗せて食べるわけのわからなさも、既成概念にとらわれていなくて、ぼくは好きだ。

『サクラクエスト』2話 最初の町おこし失敗、サイト作ったくらいでお客さん来たら苦労はしませんの画像2『サクラクエスト」公式サイトより。地方自治体のこういうサイトあるあるー

『サクラクエスト』の公式サイトでは、「間野山観光協会」の仮想ホームページが、キャラクターのラジオ入り(「チュパカプRADIO」音声が聴くことができる)で公開されている。
 いかにもな感じの体裁で、とてもよくできている。なお早苗が作った「チュパカブラ饅頭」ページはありません、残念。

(文/たまごまご

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