『お嬢様とボクの可愛いお姫様』(美波リン) 周囲の女性が全力で人生のご褒美をくれる! ニュータイプのハーレム! 

 とことん重そうな設定なのに、幸せそうで羨ましい。年上のお姉さんとの恋愛模様を描く『ボクのきれいな人だから』が好評だった美波リンの新作『お嬢様とボクの可愛いお姫様』(共に少年画報社)は、とても羨ましい世界が描かれる物語です。

 主人公の遠山はシングルファザーの会社員。亡き妻との間に生まれた娘・風花を保育園に預けて必死に働いています。そんな彼の勤める会社は、社長が交代したばかり。先代が亡くなった後に、海外から留学してきた「お嬢さん」の深雪が社長に就任しました。

 どんな経緯で、それまで経営にも携わっていなかった深雪が社長になったのか。彼女は傀儡で裏に操るヤツがいるのか。はたまた、派閥抗争が激しい結果の最大公約数なのか。いろいろと邪推してみますが、企業ドラマじゃないので、そんなこともなさそう。見たところ、何を扱っている会社かは不明ですが、居酒屋に社員全員が集える規模のようなので、跡継ぎは以前から「お嬢さん」と決まっていたのかもしれません。

 ともあれ、新たな社長のもとで会社を盛り上げていくために懇親会も開催されますが、遠山には出席して乾杯している時間もありません。なぜなら、家には幼い娘が待っているのだから!

 そんな社員の事情にも、ちゃんと目を向ける深雪は、わざわざ遠山の自宅を訪ねてきます。しかし、ここで大変なハプニングが! 幼いけれど、おしゃまな風花がバレンタインのチョコをつくっているのを手伝っていた深雪は、全身にチョコレートを浴びてしまいます。そうなれば、お約束なのはお風呂、そして、さらなるハプニングで遠山に裸を見られてしまうのです。

 そんなハプニングに加えて、娘のこともあって、何かと遠山を気にかけるようになる深雪。ところが、そんな遠山の周りには美女がいっぱい。しかも性的に狙っているのではなくて優しさゆえに、いろんなハプニングが起こるのです。

 この作品において、重要なのはココ。ラブコメ要素込みのお色気作品というと、何かとラッキースケベやら、流れでのセックスが登場します。この作品には、そういう要素はありません。みんなが遠山に優しく、ソノ気はないのにライトエッチな展開になってしまう……そこに羨ましいほどの幸せを感じてしまうわけです。

 保育園のかなえ先生とは、はずみで身体が密着してしまうのですが、先生はそのまま「これ以上頑張らなくても大丈夫です」と自分の巨乳に顔をうずめさせて遠山のストレスを解消してくれます。馴染みのバーの年上ママには、開店前から飲んで愚痴っていれば、身体で後腐れなく、これまたストレスを解消させてくれます……しかも、あえて本番シーンを描かないのが秀逸なんです。

 さらに社内にも、優しさいっぱいに癒やしてくれる女子社員がわんさかという状態。

 もうね、人生を頑張ってご褒美をもらえるのはうれしいですけど、ご褒美が多すぎる状態ではありませんか!

 ともすれば「ありえねえよ!」と叫びたい作品かもしれませんが、なぜか妙に癒やされてしまったのは……なぜなんだろ?
(文=大居候)

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