『復活したらLv1だったので、生き延びるために英雄少女を口説くことにしました。』ヒロインの数が多くてややこしさ満点

 ラノベにおいて、イラストがどの程度重要かは諸説あります。少なくとも、今回紹介する、ひびき遊『復活したらLv1だったので、生き延びるために英雄少女を口説くことにしました。』(MF文庫J)においては、イラストの重要度は極めて高いです。

 イラストを担当している、ゆらん氏は18禁雑誌でも活躍している描き手。その筆は、表紙イラストからして妙にエロスを放っているのです。ワザとなのかオビに文字を多めに配置して隠しているようですが、絶対領域が絶妙なエロスを放っています。

 加えて口絵。作中に出てくるお風呂シーンを描いているのですが、完全に18禁作品のエロシーンともいうべきクオリティです。ラノベの読者の中でも中高生あたりは、メッチャ興奮しながら購入しているであろうことは、間違いありません。絶対に、これだけで実用に使っているヤツはいるでしょう。

 さて、イラストだけで興奮させてくれる本作品。物語は、簡単にいえば超絶都合のよいハーレムです。

 主人公・魔帝ロキは英雄王との戦いに敗北し長い眠りにつきました。例え敗北しても、長い眠りにつけばまた元の力をもって復活することができるからです。そんな彼が眠りにつく前に願ったのは「誰にも邪魔されない、自分だけのハーレムを築きたい」というものだったのです。

 かくて、再び目覚めたロキ。彼の封印を解いたのは英雄協会に所属する4人の乙女たちだったのです。英雄王でもない乙女たちであれば、赤子の手をひねるように倒せるハズのロキ。ところが、ここでトンデモないことが。

 なんと乙女たちは、まだ完全に回復していないところを狙ってロキの封印を解いたのです。なぜなら、そのほうが簡単に魔帝を倒すことができるから!

 すなわち、元の力を取り戻す前に起こされたロキは、レベル1の状態だったのです。

 最初、そんな自分の状態にも気づかないロキは、目覚めた途端に美少女剣士のファーストキスを奪ったりやりたい放題。しかし、現実を知れば愕然とするしかありません。

 加えて、とんでもない事態が。レベル1の状態で復活してしまったので、城の中にいた魔物を制御することもできません。それに、城のあちこちには罠もしかけられていて、乙女たちがロキを倒して城を出るのも簡単にはいかないことが明らかになります。

 こうして始まる珍道中。道中だというのに、ロキにとっては自分の城の中です。要は自分の家の中で迷子になっているような状態で、物語は進んでいくのです。

 一巻を消費して、自分の家ならぬ城からの脱出行を描くという珍設定。その設定と、いきなり女とみればキスを食らわして口説こうとする、イタリア人のようなロキの妙なキャラ立ちが気になって、なかなか物語が頭に入ってきません。いきなり4人も登場するヒロインが、誰が誰やらと混乱します。そこに加えて、英雄協会と対立する、やっぱり美少女で構成された英雄組合なるものも出てくるから、これまたややこしい……。

 つまり、この作品。徹頭徹尾、ヒロインが十把一絡げな扱いになっているのです。このヒロインの惜しげもない無駄遣いが、本作のツボといえます(書き分けができていないともいえますけど)。

 すなわち物語を追いかけるよりも、自分の好きなタイプのヒロインの萌えシーンを見つけて興奮するのが、本作の楽しみ方といえるでしょう。

 なんとも不思議な作品。これぞ、ラノベというものなのかとも思いました。
(文=大居候)

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