主人公が特殊能力を駆使“しない”! 先の読めなさが魅力のマンガボックス『強制ハーレム契約』

1501_harlem.jpg「マンガボックス」公式ページより。

 先頃リリースから一周年を迎えたマンガ配信アプリ「マンガボックス」。

 この一年で、さまざまな連載が始まっては消えていった。人気作には特別編やイラスト配布といった特典の展開、すでに単行本が発売されている再掲載作品では単行本購入への導線を引いたりしている。掲載作も多種多様で、どういった作品が読者に受容されるのか、試行錯誤が続いているといえるだろう。

 こうした中、今筆者が注目している作品が、昨年10月から連載されている『強制ハーレム契約』である。この作品は、小説投稿サイト「Eノベリスタ」に投稿されたSNACKゴリ氏の小説を、望月あづみ氏の筆によってコミカライズした作品である。

“強制”で“ハーレム”で、“契約”である。いったい、どんなエロエロな物語になるのか。表現がギリギリすぎてモザイクだらけになって「単行本はモザイクなしだよ!」なんてことになるんじゃないか……と思ったら、そんな作品ではなかった。

 物語の主人公・遙は予知夢を見るという特殊能力の持ち主。そんな彼が見たのは、自分が通う瀬戸高校の“瀬戸五歌仙”と呼ばれる、容姿と勉学に秀でた乙女たちが自動車事故で死亡する夢。しかも、その事故を起こすのは自分の姉なのだ。

 どうも近い未来、姉と瀬戸五歌仙が一緒に旅行へ出かけた結果として、そんな事故が起こると考えた遙は、瀬戸五歌仙のうちの誰か一人が自分と付き合えば事故は起こらない、と思いつく!

 なるほど。こうして学園恋愛物が始まるのかと思ったら、そうではない。いきなり最初に助けた瀬戸五歌仙のひとり・星崎茜に、予知能力を持っていることをほとんど知られてしまう。それでも、「未来が変わった」という確証はないどころか、瀬戸五歌仙にはさらなるトラブルが降りかかっていく。

 助けたヒロインはその後の協力者となり、遙にとってのハーレムだけは実現していく美味しい展開。この大味とも取れる展開がジェットコースター感を醸し出してくれて「次は一体どんな展開になるんだよ!?」と逆に目が離せなくなる。

 茜の次にピンチに陥ることとなる瀬戸五歌仙・成宮結衣は、人気アイドル。彼女がステージで無残な姿となる予知夢を見たものの、解決する手段はわからないまま、コンサートが始まってしまう。その後、彼女がストーカーに狙われていることがわかるのだが、ストーカーがどのような手段で襲撃を図るか、予知夢ではわからない。一体、予知夢という能力をどのように利用して事態を解決するのか……! 結果、遙はストーカーがステージに乱入した途端、自分も乱入して身体を張ってストーカーを止めるのだった。

 ……なんて力技だ! 「マンガボックス」の紹介では、この作品を「シリアス展開」と記しているが、「シリアス」とはもっと違う褒め言葉があると思えてならない。

 そして、命を救われた結衣は当たり前のように主人公ラブとなる。最初に救われた茜もほぼ主人公ラブ状態なので、もはや「誰か一人と付き合えば悲劇を回避できる」という当初の問題は、軽くクリアできる状況になっているのである。つまり、読む前の想像と違って、ハーレム状態を強制されるのは主人公のほうだったということらしい。

 主人公が特殊能力を駆使するよりも身体を張るあたり、もはや先が予想できない点だけは「シリアス」といえる本作。先が気になって気になって、原作を読んでしまうべきか迷うハラハラさせる作品である。
(文/昼間 たかし)

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