前作トレースからの脱却と“ロコドル”としてのAqoursの未来『ラブライブ!サンシャイン!!』第3話レビュー

1607_raburaibu.jpg『ラブライブ!サンシャイン!!』Official Web Siteより

 なんだかんだ前作をトレースしつつ、ようやく各キャラの魅力も見えてきた『ラブライブ!サンシャイン!!』第3話。今回は、スクールアイドルをやることになった千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんの3人がビーチでダンスの練習をしているシーンから。曜ちゃんのかぶっている「YOU」キャップが、いちいちダサくていい感じです。

 スマホに録画しながら練習する3人。高飛び込みの経験もある水泳部兼任の曜ちゃんがフォームや動きのチェックを、作曲担当の梨子ちゃんがリズムをチェックします。結果、千歌ちゃんがどっちもイマイチの様子。

 そんなこんなでキャッキャしていると、頭上にヘリ。第1話で一言だけ登場したマリーですね。そのままビーチに降りてきて、「チャオ!」だって。マリーは、沼津沖に浮かぶ淡島のホテルを経営している家の子で、浦の星女学院の新しい理事長も、その家の人らしいです。

 で、実はこのマリー自身が新理事長でした。理事長兼3年生の生徒。聞けば、多額の寄付をしているから理事長になれたんだそうです。すげえ横暴。こんな横暴がまかり通るのかと思いますが、理事長になった動機が「浦の星にスクールアイドルが誕生したというウワサを聞いて、ダイヤ(重度のラブライバーの生徒会長)にジャマされちゃかわいそうなので、応援しに来た」とのこと。なんか時系列が怪しい気もしますが、応援してくれるならとりあえずよしとしましょう。

 さて、ダイヤちゃんによってストップさせられていた千歌ちゃんたちのスクールアイドル活動ですが、マリー(の家の金の力)によって、とりあえずチャンスが与えられることになりました。体育館を満員にできれば、部として存続を認めるそうです。ただしこの体育館は、全校生徒を動員しても満員にならない広さ。それはそれで厳しいハードルのようです。

 千歌ちゃんはお姉ちゃんに「会社の人200人連れてきて!」とお願いして額に「バカチカ」と書かれたり、曜ちゃん梨子ちゃんと沼津の駅前に出てチラシを配ったりします。駅前には、本屋さんに買い物に来ていた花丸ちゃんルビィちゃんや完全に怪しい変装をした登校拒否のヨハネこと善子ちゃんもいました。

 そのルビィちゃんの指摘で、いまだにグループ名を決めていなかったことに気付いた3人。「スリーマーメイド」「制服少女隊」といった候補の中から、なんだかフワッとした感じで「Aqours」に決めました。

 そんなこんなでライブ当日は豪雨。舞台裏で3人は手をつなぎ、「あったかくて好き」などと言いながら、いざ幕が上がります。

 前作ではここで「客ゼロ」という試練が待ち構えていましたが、今回は10人くらいいました。満員にはほど遠い人数ですが、堂々と「Aqoursです!」と宣言し、ヌルヌル動きながら歌いだしました。

 ハードルを設けたマリーは、少ない観客を見てニヤニヤなのかニコニコなのか、ちょっとよくわからない反応で気になるところ。華々しいステージはしかし、1コーラス目が終わったところで落雷に遭い、すべての電源が落ちてしまいます。

 真っ暗な中、千歌ちゃんはアカペラで歌いだします。ライブ中の機材トラブルで音響が落ちる中、地声&アカペラで元気いっぱいのライブを繰り広げた、ももクロ東京タワー公演(2011年7月31日に行われたフリーライブ「見上げれば東京タワー そうだ!アキレス腱を伸ばそう。」)を思い出すシーンですが、千歌ちゃんたちは途中で泣き出して、止まってしまいます。

 このピンチを救ったのは、ダイヤちゃんでした。倉庫から発電機を引っ張り出してきて、電源は復活。さらに、なぜかわさわさと地元の人が集まってきたのです。

 クラスメートや1年生たちが、自発的にチラシ配りを続けていてくれたのでした。千歌のお姉ちゃんも、会社にビラを貼りまくってくれていました。誰も来なかったのは、バカチカが開始時間を間違えたからだそうです。学校の外は大渋滞で、校庭は車で埋まります。雨でぬかるんだ校庭に大量の自動車が入ってきて、後始末がたいへんそうですが、まあよかったです。

 こうしてマリーとの公約は達成。スクールアイドルは継続することになりました。

 達成感に浸るステージの3人を前に、μ’s真正ガチヲタのダイヤちゃんが言い放ちます。

「これは今までのスクールアイドルの努力と、街の人たちの善意があっての成功ですわ。勘違いしないように!」

 千歌ちゃんは答えます。

「わかってます。でも、でも、ただ見ているだけじゃ始まらないって。上手く言えないけど……今しかない瞬間だから……だから、輝きたい!」

 μ’sの功績を受けた上でのことであると理解したうえで、一歩前に進もうとする宣言でした。

 Aqoursはここで、目標であるμ’sとは“違う道”を歩き出す決意を表明したということなのでしょう。後にメンバーとなる生徒たちも、ステージを見上げていました。ただひとり、3年生の果南ちゃんだけが最後まで舞台に背を向けたまま、会場を後にしました。

 4話以降、前作とは違ったプロセスを描きながら彼女たちは活動していくことになりそうです。ここまではトレースで、ここからが新作になるということです。今回、象徴的に描かれたのは沼津の人の温かさでした。今後、スクールアイドルに加えてローカルアイドルっぽいエピソードが入ってくるのかもしれません。もっとも、一般的なロコドルの最大の問題である「金がない」は、だいたいマリー資金で解決できそうなので、どんな展開になるか読めないところですねー。まずは次回を待ちましょう!
(文=新越谷ノリヲ)

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