みんなオタサーの姫は大好きですよね? 佐倉唄『オタサーの姫と恋ができるわけがない。』(ファンタジア文庫)は、オタサーの姫と過激にラブイチャしまくるテンションの高い作品であります。
誰もが大好きなオタサーの姫ですが、だいたいの人にとっては遠巻きに観察したいモノなはずです。オタサーの姫なんて珍しいものじゃなくて、だいたいの人が一度は見たことがあるはずです。もし、見たことないなら……休日に秋葉原の駅前あたりに1日立っていたら、確実に目撃できます。メガネ率の高い男たちを従えた女の子の姿を……。
あの十把一絡げな男たちと同類になんて、なりたくないのが心情。でも、自分がオタサーの姫の本命だったら話は別ですよね。
本作の主人公・神園心路は、まさにそう。オタサーの姫の本命だったのです。
心路が高校入学と共に決意したのは「オタ充」になること。「オタ充」ってなんでしょう? それはオタクなのにリアルも充実している人生のことです。
そんな上手い話があるかー!
でも、あったのです。
物語の冒頭、入学初日に心路の下駄箱に入っていたのは、女の子からの呼び出しの手紙。
それをきっかけに再会したのは、幼なじみの花咲百合姫でした。実は、心路は過去に超美少女な彼女を「二次元以外はあり得ない」とフッてしまった過去があったのです。
そんな彼女は、理想のヒロインになりたいあまりにオタクの道を究め、女子高生なのに人気ラノベ作家となり、二次元文化愛好部なる部活にも所属しているのです。
なんて美味しさてんこ盛りの設定でしょうか。おまけに、百合姫は2年生。すなわち、年上だというじゃありませんか。幼馴染みなだけじゃない。年上に甘えられる、先輩と付き合う……わかる人にはわかる属性しかないのです。
こうして始まる物語の舞台となる二次元文化愛好部ですが、やっぱり廃部の危機にあります。
まあ、マンガとラノベにおいて部活動が廃部の危機にあるのはデフォです。で、その理由なんですが、マンガ部とゲーム部に部員が流れたり、あんまりメジャーじゃないジャンルの人は「一人でやるのと変わりない」と辞めていったり……ということだそうです。
まあ、物語の本筋は読んで頂くとして、ここで知らしておきたいのは、こんな美味しすぎる物語に血肉を通わせようとする作者の仕掛けです。
まず、筆者が冒頭でグッと引き込まれたのは、次の一文。
「例を挙げるなら『げんしけん』の斑目タイプから『冴カノ』の倫也くんタイプになりたいんだ……っ!いや、俺、斑目大好きだけど」
この作品、さまざまなマンガやらラノベやらのタイトルが次々と飛び出してきます。挙げ句の果てには「長門は俺の嫁」とまで書いちゃうんですから、まったく作者はノリノリです。
ただでさえハイテンションなのに、お色気シーンも満載、冒頭から百合姫はキスしてくるし心路は小学四年生の妹に……
「どうしてお兄ちゃん、今日はお■■ちんが大きいの?」
だって。
この作品、何度もベッドで読み返して、夢のオタサーの姫とのラブイチャを我が物として妄想を繰り広げたい、一種の実用作といえるでしょう。というか、後書きで作者が、えらくページを使って俺のオタサーの姫論を語っているあたり、相当妄想しまくって書いてるんだなと納得。
なお、物語の舞台は仙台。当然、アニメイトに出かけるシーンも登場するわけですが、もう魚臭いアニメイトってないんですね、嗚呼!
(文=是枝了以)
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