トランプ候補が“グレートウォール”へ登場する風刺“あほゲー”をApp Storeが掲載拒否!

1605_gop.jpg『GOP Arcade』シリーズ公式サイトより。

 米インディーズデベロッパーのEveryday Arcadeが、今回の米大統領選をモチーフにした連作ミニゲームを開発した。当初はゲームアプリとして制作されたこのシリーズだったのだが、App Storeへの掲載が拒否されていたことが先日明らかになった。

■アメリカ=メキシコ国境の“大きな壁”に現れたトランプ候補 

 アメリカのEveryday Arcadeが手がけた米大統領選を題材にした連作ミニゲーム『GOP Arcade』シリーズの第一弾ラインナップの3作品が、App Storeからリジェクトされていたことが、先日Everyday Arcadeの担当者から公表された。その中には、現在の大統領選の台風の目であるトランプ候補を風刺するゲームもあったのだ。

「GOP Arcade」シリーズ紹介動画 「GOP Arcade」より

 App Storeでの掲載を拒否されたゲームとは、トランプ候補にそっくりな人物がアメリカ=メキシコ国境を区切る“大きな壁”に現れ、麦わら帽子(ソンブレロ)を被った人々をメキシコ側へと放り込んでいくという『Trump Toss』、銃器店の店員となって正常な人にだけ銃を販売する『Good Guy with a Gun puts』、中東&北アフリカの特定の場所だけを正確に爆撃することを目指す『Bomb the Right Place』と、いずれも今のアメリカで懸念されている政争がモチーフとなっている。

「もしこれらのゲームを真剣に受け止めれば不快かもしれませんが、これは明らかに“風刺ゲーム”なのです。これらの政治的争点を別の観点から眺めてもらいたいと考えているのです。ニュースで語られるこれらの話題はとてもシリアスですが、しかしいくつかのことはとてもばかげたことです」と開発者のマイク・ラシェ氏は「The Daily Dot」の取材に応えている。

 これまでもいわゆる“あほゲー”を作ってきた同社だが、大統領選に関わる風刺ゲームはこれが初めてということだ。ラシェ氏によれば、アップルの最初の言い分は、この『Trump Toss』は「多くの人を不快にさせる」ということであったという。これを受けてラシェ氏は他にもトランプ候補を風刺したゲームはたくさんあるとして、“トランプ候補ゲーム”のリストを作ってアップルに返信したがその後の連絡はないということだ。

 また『Good Guy with a Gun puts』についても、今非常にナーバスな中東の国々を題材にしていることが掲載拒否の理由であるという。「The Daily Dot」からもこの件についてアップルに質問したが、今のところは何らの回答も得ていないという。

■風刺ゲームで笑いながら政治的争点を学ぶ

 こうして発表の場を失った『GOP Arcade』シリーズだが、苦肉の策として同社はこれらのミニゲームをウェブ上で公開することにした。現在、この3作品はブラウザゲームとして無料で誰でもプレイすることができる。ゲームを少しプレイしてみたところでは、確かに皮肉が効いた“あほゲー”である(苦笑)。アップルの判断が適切なのかどうかの判断はつきかねるところだ。

 中東と北アフリカのマップ上で、指示された場所を爆撃するゲームである『Good Guy with a Gun puts』は、「アメリカ人の半数はシリアの正確な位置を知らない」という2013年の調査で判明した事実をパロディにする意味もあるようだ。とはいえアメリカ人でなくとも、アフガニスタンのカブールが地図上のどの辺なのか示せと急に言われても、当惑してしまう人は多いことだろう。

 しかしながら、アップルはこれまでにちょっと“グレー”なゲームアプリもApp Storeに掲載している。例えば『Soledad』というゲームアプリでもソンブレロを被った典型的なメキシコ人が表現されているし、『ImmigRUN: The immigrant game』というアプリはなんと難民をヨーロッパへ逃がすという内容のゲームである。また『Illegal Immigration: A Game』というゲームアプリでは「不法移民はアメリカ社会を脅かす犯罪者だ」というやや問題になりそうな表現が含まれている。

 アップルの判断はこの意味ではケースバイケースで行なわれているとも考えられ、幼児虐待表現を含む『The Binding of Isaac』の掲載を拒否した一方で、『Beat the Bully!』という学校の前で生徒にパンチする表現のあるゲームはApp Storeに並んでいる。

 今回のアップルのリジェクションに懲りず、この『GOP Arcade』シリーズは大統領選が終わる時点まで続けるられるということだ。近々加わるタイトルとしては、科学者たちと闘う『Science Fighter』、LGBTの“トイレ問題”をモチーフにした『Restroom Defender』など、これまたいろいろ波風立てるかもしれない(!?)ゲームがすでに近日公開作品として記されている。

「風刺はとてつもない力を秘めていると思います。風刺は物事に対し何かの意見をストレートに叫ぶのではなく、いろんな角度から見る目を与えてくれるのです」と語るラシェ氏。これらの風刺ゲームで人々に笑いながら政治的争点を学んでもらいたいと彼は望んでいる。ともあれ今後登場するユニークなラインナップもチェックしたい。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・The Daily Dot
http://www.dailydot.com/politics/trump-toss-apple-game-reject/

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