近い将来、工場はクモ型ロボットだらけに!? 最新の3Dプリンタロボットがスゴイ!

1605_spider.jpg「SiSpis」

 人工知能とロボットの進化で、今までは人間がしていた仕事が、どんどんオートメーション化されていくといわれている。そうなった場合、作業の現場はいったいどんな光景になるのだろうか。そして先頃そんな近い未来を占うような、優秀なクモ型・工場労働ロボットが登場した。

■クモ型の3Dプリンタロボット「SiSpis」

 近いい将来、工場で働く作業員は“クモ型ロボット”ばかりということになってきそうだ。ドイツに本社を置く多国籍企業、シーメンスのロボット開発部門であるSiemens Robotic Labsが先日、クモ型ロボットの「SiSpis」のプロトタイプを公開した。

 Siemens Spidersを略して「SiSpis」(シースパイス)と名づけられたこのロボットは主に自動車、船舶、航空機製造などの工場労働者として、活躍が期待されているということだ。しかしこの場合、労働者という言葉は正確ではないかもしれない。なんとこのSiSpis自体が3Dプリンタなのである。

 3Dプリンタといえば、一般的なイメージとしては小さい部品などを作る電子レンジのような外観のものがまず思い浮かぶが、実はその形態はさまざま。このクモ型ロボットのSiSpisが何十、何百という数で、例えば船舶の船体などを3Dプリント技術で作り上げるのである。つまり人海戦術ならぬロボット海戦術(!?)で、大型の機体を自動的に“3Dプリント”して作り上げてしまうシステムなのだ。

 このSiSpisにはオンボードカメラとレーザースキャナが搭載されており、周囲の状況を常に把握しイレギュラーな障害物を避けたりするなど自律的な行動が可能である。現状では連続作業時間は2時間ほどだが、バッテリーが切れるまで充電場所へ自ら赴いて充電を受ける仕組みになっている。その際には今まで行なっていた作業の進捗情報を他のロボットに伝えられるので、作業が中断されることがなくすぐに代わりのSiSpisがやってきて作業を続行するのだ。一度作業現場をセッテイングしてしまえば、あとは電力を供給しているだけで自動的に製造が完了するのである。

 未来の工場ではもちろん他のタイプのロボットも活躍することにはなるが、このSiSpisは“工員”として数からいっても任務の幅広さからいっても現場の主力になるという。何百という数のSiSpisがひしめき合う未来の製造工場の現場は、クモ嫌いならば卒倒してしまいそうな(!?)、物凄い光景が繰り広げられることになっていそうだ。

■工場生産、運輸・輸送の現場でロボット化ますます進む

 今後は電池の性能が上がって連続作業時間が長くなったり、あるいは駆動部に油を差すなどの簡単なメンテナンスも自分たちでできるようになったりすることも当然考えられることから、SiSpisの可能性には計り知れないものがあるだろう。

 すでに実際の工場生産の現場でもロボットの活用がますます推し進められている。韓国のSamsungは産業通商資源部と協働して昨年、自社製品の“ロボット工場”を開発するために1480万ドル(約16億円)もの投資を行なっている。現在中国にある主力工場では人件費が高騰していることから、今後は積極的に生産現場のロボット化を進めていくということだ。

 生産現場だけではない。運輸・輸送の現場でも着実にロボット化が進んでくるだろう。先日は楽天(Rakuten)がゴルフ場でドローンを使った配達サービスを開始したことも話題を呼んでいる。もちろんゴルフ場のみならず今後は宅配業務での実証実験を積み重ね2020年の事業化をめざす。

 ロボットに仕事を奪われると言われていても、これまではビジュアル的にどういうことになるのか今ひとつよくわからない面もあったが、ドローンや今回のSiSpisの登場で一気に現実味が増してきた感もある。まずは東京五輪が開催される2020年にロボットがどこまで“社会進出”してくるのか興味深くウォッチしたい。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Gizmag
http://www.gizmag.com/siemens-3d-printing-spider-robots/42957/

・The Register
http://www.theregister.co.uk/2015/10/19/samsung_told_to_build_bots_who_work_for_less_than_foxconn_staffers/

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クモというよりタチコマとか多脚戦車っぽいなと思ってみたり

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