『アースロコロッサス』(東裏友希) 日本史の真実! 東大寺の仁王像は兵器だった! 

『アースロコロッサス』(東裏友希) 日本史の真実! 東大寺の仁王像は兵器だった! の画像1『アースロコロッサス』『アースロコロッサス』(東裏友希) 日本史の真実! 東大寺の仁王像は兵器だった! の画像2(東裏友希/メディアファクトリー)

 書店で表紙の女の子のパンツに目を奪われて購入したら、とんでもないマンガだった。

 独特の絵柄が生える東裏友希の『ナイチンゲールの市街戦』に続く期待の連載作品『アースロコロッサス』(メディアファクトリー)は、世界観の特殊性が際立つ作品だ。

 そもそも、物語の主人公が酷い。主人公・丹波チヒロは、いじめられっ子ではない。一緒にマンガ家になりたいという夢を持っている親友の堀川が、いじめられていても見て見ぬ振りをするチキン野郎である。加えて祖母と2人で暮らすという生活は、決して豊かなものではない。とにかく現実から逃げるのが日常なのである。そうした日々の積み重ねのためか、チヒロは美少女に出会う白昼夢に遭遇したりもしていた。

 そんな鬱屈とした現実が爆発したのは、修学旅行先の奈良。女生徒たちに、いじめの現場を見ているのに何もしないことをなじられ、加えて欠席のはずがこっそり修学旅行についてきた堀川がクラスメイトに見つかるという、キャパを超えた現実。タガが外れたチヒロは「お前ら全員敵だ」と言い放つ。次の瞬間、現実は激変する。土偶状の謎の物体が目の前にいた、ほぼすべての人間を切り刻み殺したのである。

 こうして、逃げ惑うチヒロは白昼夢で見た美少女に導かれて謎の侵略者と戦うことになる。その戦うための兵器が、東大寺の金剛力士像……の阿形像のほうなのである(当然だが美少女・亜蘭は吽形像に)。東大寺の金剛力士像といえば、鎌倉時代に運慶が制作した国宝なわけだが、それでバトルをするなんて、この発想はなかった! おまけに、金剛力士像は古代人の一族が、やがて来る侵略者に備えて造り上げた古代兵器・アースロコロッサスだったというのである! え、運慶は?

 一種超展開なのに、仏像に乗って戦う(乗るというよりは、ほぼ合体だけど)という、超絶な設定ゆえに、逆に違和感なく読めてしまう。しかも、侵略者によって一瞬で30万人あまりが死ぬという侵略のスケールの大きさも、今後の盛り上がりを期待させる。何よりも、こうした話だと侵略される定番は東京や大阪のはずなのに、襲われたのが青森・奈良・福岡というのも驚く。きっと、この3つの都市が襲われたこと時代に意味があるのだろうけど、今までいかなりメディアの作品でも、ほぼ被害がない奈良が全滅だなんて……。

 もはや、フィクションの世界でどんな侵略者がやってきても、絶対に安全なのは皇居だけなのか?

 さて、この作品にもっとも期待するのは、今後はどんな仏像が登場してバトルを展開するかということだ。この仏像で戦うというのは一種の「出オチ」の側面もある。ということは、さらに想像を超えるような仏像が次々と登場して物語を盛り上げてくれると願っている。実際、単行本のラストでは千手観音とおぼしき仏像が登場。すごく期待している版面、操縦が大変そうだな……と野暮なツッコミもしてしまうのである。

 かつて「週刊少年ジャンプ」で連載されていた『仏ゾーン』のごとく、妙にマイナーな仏像とか登場することを期待している。
(文=是枝了以)

アースロコロッサス (1) (MFコミックス フラッパーシリーズ)

アースロコロッサス (1) (MFコミックス フラッパーシリーズ)

今後どの仏像出てくるのか、楽しみで仕方ない。

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