「図書館へいらっしゃい」に救われた芸能人もいる──『太田光自伝』で明かされていた“居場所”としての存在意義

1509_bakumon.jpg『タイタン』公式ページより。

 鎌倉市立図書館のツイートが話題だ。8月26日に「学校が死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね」といった内容が投稿された。

 実際、子どもの自殺は9月1日をはじめ、夏休みの終わりに集中すると言われている。やはり、いじめなどが原因で「学校に行くのがつらい」子どもがいるのは確かだろう。

 鎌倉市図書館のリツイート数は、9月2日現在で10万件を突破している。ツイートの内容に関して、ネット上では「死ぬ」という言葉が不適切だという指摘がある一方、「確かに図書館は居場所だった」という意見も見受けられる。図書館に特別な思い入れがある人は多そうだ。

 学生時代、図書館が居場所だった人間は、芸能界にも存在する。爆笑問題の太田光もその一人だ。著書やテレビのトーク番組などで知られている通り、太田は高校時代、友人が一人もいなかった。そのエピソードは『爆笑問題・太田光自伝』(小学館文庫)に詳しい。

 地元埼玉を出て東京都内の男子校に進学した太田は、中学からの知り合いが誰もいない環境に置かれる。そこで、最初に誰かに話しかけ、友人を作るきっかけを失ってしまう。

 太田少年にとって、休み時間の居場所は高校の図書室だった。図書室には同じように、居場所がない生徒が集まっている。同類を求めるように「こんな学校最悪だよね」と言い寄ってくる生徒たちを、太田はことごとく拒絶していたという。

 太田が高校に在学していた1980年代は、不登校や校内暴力などが問題となり、学校の外で学ぶフリースクールなどが台頭してきた。太田はそうしたものには否定的で「学校から逃げないことで、学校を堂々と批判できる立場にいたい」と思っていたという。

 実際、太田は、高校3年間、1度も欠席せず皆勤賞を取っている。修学旅行にも参加し、無理やり入れられたグループに途中で巻かれる、文庫本を10冊くらい持っていてすべて読んだ、といった伝説を残している。

 太田は同時期に多くの小説を読み、島崎藤村や太宰治にハマっていたことも明かしている。部活動はたったひとりの演劇部に所属し、戯曲も多く読み、高校3年の文化祭では、一人芝居を打っている。表現者としての萌芽が垣間見える。

 現在の太田光を形づくったものの1つに、高校の図書室があったことは確かだろう。逃げ場所としての図書館であっても、まったく無意味なものではないのだ。
(文=平田宏利)

爆笑問題 太田光自伝 (小学館文庫)

爆笑問題 太田光自伝 (小学館文庫)

図書館の空気って落ち着きますよね。

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