大聖堂の3Dバーチャルツアーが味わえる『Cathedral-in-the-Clouds』の開発が進行中!

■商業ゲーム撤退からデジタルアート創作活動へ

 実は今年6月、Tale of Talesは同社公式ブログで商業ゲーム開発からの撤退を発表している。この発言の原因となったのは同社最新作のアドベンチャーゲーム『Sunset』の売り上げの不振にある。『Sunset』もまたKickstarterのプロジェクトから始まり、目標額の2倍以上の出資を獲得してファンディングは大成功を収め、その勢いで多数のプロモーションを打って同社としてはかつてないほど大々的にこの『Sunset』を売り出したのだったが、リリース後の売り上げは予想を大きく下回る4000本ほどという“惨敗”を味わうことになった。出資者に提供する分も含めての数字ということで、純粋な売り上げは2000本前後ではないかとも言われている。

 もともと芸術畑のクリエイター2人が設立したTale of Talesだけに、『Sunset』の失敗によるインディーズゲーム市場に対する落胆は大きかったようだ。「ゲームの世界は犠牲を捧げるに値するものではないのではないかと考えるようになりました」と、同社のマイケル・サミン氏はゲーム情報サイト「Engadget」の記事で語っている。ちなみにこの発表が各メディアでとり上げられたことにより『Sunset』は皮肉にも注目を集めたためか、少しの間売り上げが伸びたということだ。

 商業ゲーム開発からの撤退の発表に同社のファンもショックを受け、Tale of Talesは近いうちに畳まれることになるのではないかという憂慮もあったというが、年末に近づいたこのタイミングで、こうして純粋なアーティストとしてデジタルアート作品を手がけることが発表されることになった。

「私たちはまだショックと徒労感から立ち直ってはいませんが、(ファンの方々の温かい反応に)今ではおおむね幸せな気分でいます。そのうえまだもの作りへの情熱とインスピレーションも失ってはいません。私たちは今、芸術の女神に導かれていることを実感しています」(マイケル・サミン氏)

 奇しくも聖バーブ大聖堂の収蔵品が象徴する中世の優れた芸術創作はパトロンやスポンサーの存在によって維持されてきた歴史的背景がある。Kickstarterをはじめとする現代の“パトロン集団”によるこの新たな芸術家のあり方が、将来にわたって存続可能なものであるのかどうかが試されているのかもしれない。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・Engadget
http://www.engadget.com/2015/11/18/tale-of-tales-virtual-reality-art/

・『Cathedral-in-the-Clouds』公式サイト
http://cathedral-in-the-clouds.net/

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