【今月の不健全図書レビュー】審議会における出版業界の分の悪さが露呈! いのうえみたん『感じやすい幼なじみと催眠初エッチ!?』

1510_hukenzen.jpg『感じやすい幼なじみと催眠初エッチ!?』(いのうえみたん/ジーウォーク)

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 いのうえみたん『感じやすい幼なじみと催眠初エッチ!?』(ジーウォーク)は、久々にやってきたような気がするスタンダードなエロマンガというテイストです。ジーウォークが得意の電子書籍で人気の作品を紙媒体にするルートで発売された作品。DMMでは、R18にて販売されております。物語は主人公の山田太一郎が幼なじみのさつきに、冗談半分で催眠術をかけてみて、エッチな展開になるというもの。ひたすら、さつきやほかのヒロインとの都合のよいエッチシーンが続く作品です。正直、エロマンガに慣れた読者だと興奮できるのか怪しい作品です。どちらかというと青年誌のエロ担当といったテイスト。いったい、なんでこの作品が指定されてしまったのでしょうか?

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 誰もが「こんなの不健全図書にする必要あるの?」と思っていたのか。この単行本に対する「自主規制団体からの聴き取り結果」には、ちょい驚きます。なぜなら保留意見はなくて、指定非該当とする意見がやたらと多いのです。指定該当意見が6人に対して指定非該当意見は10人です。【性的行為を露骨に表しており、青少年が手に取り易い表紙のイラストや表現となっている】【単調で卑わい感を感じないが、全編にわたり、性描写ばかりである】などとする指定該当意見が、まったくリアリティがないのは、一目瞭然ですね。

【肉体が立体的でリアル感がある反面、顔は二次元的。女性のバストを強調しすぎて、やや滑稽でさえある。】【確かに全編セックスシーンだが、リアリティが一切なし】【明るいコメディーものなので、著しく性的刺激を与えることはない】という指定非該当の意見は、とても説得力があります。まあ、エロマンガなのに「卑猥じゃない」とか「性的刺激を与えることはない」と判断されるのも、どうかとは思いますが……。

 そうした意見聴取結果があるにも関わらず指定されてしまう理由。それは、不健全図書に指定するか否かは「自主規制団体からの聴き取り結果」ではなく青少年健全育成審議会の委員による多数決で行われるからです。

 現状、審議会の委員は20名。うち出版業界の関係者は出版倫理協議会の山了吉議長だけです。新聞社の編集・論説委員も委員にはなっていますが、純粋にエロメディアも含めて事情をわかっていそうなのは山さんのほかは、映画倫理委員会の児玉清俊事務局長くらいじゃないかと。どう考えても分が悪いのです。過去には、あまりに無理筋な不健全して指定図書の候補があった場合、自主規制団体からの意見聴取を行う「打ち合わせ会」をボイコットする戦略も練られたと聞いています。もしも、このテイストの単行本が連続するようなら、一波乱ありそうな気もしますね。
(文=昼間たかし

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/664/664siryou2.pdf

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