『艦隊これくしょん -艦これ-』第一話 「授業参観の気分で楽しむ」に納得!?

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『艦隊これくしょん -艦これ-』第1話

 暁の水平線に勝利を刻んでやろうじゃないかーーッ!!

 大人気ゲーム『艦隊これくしょん』が待望のテレビアニメ化。PV第二弾になっても声がなく「地雷か?」「単なる雰囲気アニメだったらどうしよう」さまざまな期待と不安の渦巻く中で、いよいよ放送がスタートしたぞ!
 
【今週の極私的見どころ!】

製作総指揮 井上伸一郎

 テレビアニメのレビュー記事なんて久方ぶりなので、これだけは言わせてください。なんでしょう、「製作総指揮 井上伸一郎」と表示された時の、これまで角川書店(現・KADOKAWA)にどれだけ魂を捧げてきたんだろう、という想いは。井上氏といえば、「ニュータイプ」創刊時の副編集長。「少年エース」の創刊編集長などを歴任した人物であります。角川春樹が作り上げたメディアミックスの思想、いわば春樹イズムをアニメに適用して、ここまで一つの文化を創り上げた人物の一人であるわけです。今は亡き岡山松竹文化劇場で『アルスラーン戦記』『サイレントメビウス』『僕らの七日間戦争2』の三本立てを観たのを、昨日のことのように思い出しますよ。最初に買った「ニュータイプ」の特集は『火の鳥鳳凰編』でしたなあ……。というわけで、初心に戻って最後までレビューしていきたいと思います。

【今週のオススメ度】
★★★☆☆

 まず大前提として。『艦隊これくしょん -艦これ-』は、角川ゲームスが開発し、DMM.comが配信しているブラウザゲーム。プレイヤーは提督となり、かつての大日本帝国海軍の戦艦を擬人化した「艦娘(かんむす)」を集めて強化しながら、敵である深海棲艦と戦うというもの。2013年4月23日にサービス開始して以来、ユーザー数は100万人を突破。コミカライズなど多数のメディアミックスも行われている中で、満を持してのアニメ化となったのである。

 すでにゲーム中には、数多の艦娘が登場しているわけで、ちゃんと自分の愛する艦娘……いや、嫁艦が出るか否かも視聴者の大きな関心事であったはずです。

 さまざまな思いの中で、いきなりOPは名声優・榊原良子さんのナレーション、そしてバトルシーンでスタートしたのです。ちゃんと「謎の深海棲艦なる存在によって人類が制海権を奪われ、それに対抗できるのは艦娘だけ」という、初見でもわかりやすいナレーション。それと共に始めるファーストバトルは、できるだけ多くの艦娘を出そうとする努力が垣間見えます。「第一話だから出せるだけ艦娘をだしちゃいますよ」と制作人の声が聞こえる。

 さて、鎮守府に配属されてやってきたのは、一応主人公の吹雪ちゃん(CV:上坂すみれ)。ゲームでも一応主人公という設定なのですが、そんな雰囲気はまったくありませんでした。だけど、今回はホントに主役です、多分。そんなダメだけど頑張り屋の彼女が、艦娘が所属する、ある「鎮守府」に配属先されたところから物語は始まります。第三駆逐艦隊であります。

 ここから、しばらくは、艦娘たちの顔見せシーン。早速出会った睦月ちゃん(CV:日高里菜)とは仲良くできそうですが夕立ちゃん(CV:タニベ ユミ)は「特型駆逐艦なのに、なんだか地味っぽい」と、容赦ありません、さすがは“ソロモンの悪夢”です。

 その後出会う“夜戦バカ”こと川内(CV:佐倉綾音)は「夜って好き?」と聞いてくるし、アイドルを自称する那珂ちゃん(CV:佐倉綾音)はファーストライブのチラシまき。艦隊のアイドルって、端から見ると地下アイドル臭がするもんですな。

 球磨(CV:佐倉綾音)に多摩(CV:佐倉綾音)、愛宕(CV:東山奈央)の戦闘シーンと挟んで、作戦室にいる大淀さん(CV:川澄綾子)は通信担当。作戦指揮を執るのは、長門(CV:佐倉綾音)に陸奥(CV:佐倉綾音)です。

 場面は変わって、鎮守府を案内される吹雪ちゃん。鎮守府には教室はあるし、時間割も掲出。どうやら、鎮守府は学園設定の世界のようだとわかります。

 さて、そんな吹雪ちゃんが出会うのは、伝説扱いの一航戦。赤城さん(CV:藤田咲)と加賀さん(CV:井口裕香)艦隊です。偶然出会った赤城さんに「いつか一緒の艦隊で戦いましょう」と言われて、「甘味処・間宮」で吹雪ちゃんは有頂天。同じ店内では、大井っち(CV:大坪由佳)が、北上さん(CV:大坪由佳)とイチャついて(?)いて、クレイジーサイコレズっぷりを披露しているのです(ふと思ったんですが、それぞれの艦娘役の声優をすべて暗記している猛者っているんでしょうか?)。

 そんな紹介パートを経て、後半はいよいよ戦闘です。ここで明らかになるのは、この艦隊は長門が秘書艦ってこと。かくて、出撃シーンでは、なんだかよくわからんがすげえ装置に乗ると、自動的に艤装が装着されて発進するのです。この艤装装着は魔法少女的変身シーンそのものなんですが、これを毎回やるのかよ……。そもそも、艤装が鎖と一緒に飛んできたり、水中を進むのをキャッチするわけですけど、この時点で失敗しそうなのは、想像に難くありません。

 PVが公開されてから話題になっていたように、戦闘スタイルは水上をスケートのように艦娘が滑っていくというもの。実戦初参加の吹雪ちゃんは、初っぱなからコケまくります。どうやら水上を滑るだけでも、相当の技術が必要なのだということがわかります。

 かくてお約束通り、これが初出撃で練度ゼロの吹雪ちゃん。ゲームではザコにすぎない「イ級」相手にピンチになりますが、赤城さんと加賀さんに救われて、めでたしめでたしなのでありました。

 戦闘シーンも終わり、ホッとしたみなさん視聴者ですが、ドキっとしたのは、ラスト近く、吹雪ちゃんが「司令官!」と振り向いたところではなかったのでしょうか。そして第一話は、これからも頑張る吹雪ちゃんの決意にて終了。

 ちなみに提督(吹雪ちゃんは「司令官」と呼びます)は……地面に写ったシルエットだけでした。放送前から、提督をどのように描写するのかはファンの大きな関心事でした。女の子だらけの鎮守府に、一人だけ男(ゲームは女性もプレイしているので、女性提督もありでしょうけど)。どう描いても、違和感が出そうな感じ。果たして、男を出すのか否か、もしかすると「既に提督は戦死しているという設定ではじまる」「第一話で提督戦死」みたいなブラックなジョークも、ネットでは見受けられました。そうした中、アニメが採用したのは、ほぼ提督の主観視線で処理するという18禁ゲーム的な方法。これなら、視聴者のみんなが提督の気分で楽しめますね!

 時間の許す限り、艦娘たちを登場させた第一話。ネットの声を追いますと、提督の皆さんの満足度は高いようでした。twitterで「授業参観の気分で楽しむ」というツイートを見かけましたが、この作品の楽しみ方は、まさにこれでしょう。戦闘シーンになって、引きの絵がちょっと崩れているのが気になった人も多かったようですけど、敵の深海棲艦もおどろおどろしくて、迫力がありました。ゆえに、さっさと被弾しちゃった川内や那珂ちゃんに対して「イ級のワンパンで中破する軽巡の屑」とか、みなさん安心してツッコんでいたのです。

 放送前の地雷臭は幻で終わったわけですが、それでもぬぐえないのは、このまま吹雪ちゃんの成長を軸とした雰囲気アニメに終止する危険性です。いくらなんでも艦娘が轟沈したら抗議がきそうだし、ピンチ→解決といった単純なドラマに陥らずにどう展開させていくか、気になるところです。自分の嫁の登場シーンにワクワクするだけじゃ、いつまでもテンションは保てませんよ。

 まあ、隼鷹とケッコンカッコカリまで、あと一歩のワテクシは彼女が登場するまでは、ハイテンションで視聴し続けるつもりです。来週こそは、登場してくれるものと希望を持ってね!とりあえず「遂にやったぞ大空襲」(米本土空襲の歌)と歌って、来週までテンションを保たせますわ。
(文/昼間 たかし)

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