日本人はどう少女に萌えてきたのか? オリジナルアニメも芳しい『美少女の美術史』展

■太宰治原作の眼鏡っ娘アニメも上映、目指せガレージキット!

1410_bishojo_jyose1.jpg『女生徒』より。

 また、おたぽる的には、会場限定のオリジナルアニメビデオもピックアップしておきたい。太宰治の『女生徒』を原作にダイジェストで再構成した約14分のショートフィルムが会場内で上映されている。若さゆえの潔癖症や思春期特有のコンプレックスなどを独白しつつ、ナレーション役の歌手・遊佐未森のモノローグで語られるアニメーション。セルルックとは違う、レトロ風味のフィルムを得意とする塚原重義監督のビジュアルは不思議な読後感…もとい視聴体験を提供してくれるはず。何より主人公が14歳の眼鏡っ娘! しかも眼鏡にコンプレックス抱いているような!(←ココ重要) 

 原作となった太宰治の小説は没後50年を経て著作権が喪失しているので、青空文庫で読むこともできる。オリジナルのどこを抜粋して映像化したのか比較するのも面白いだろう。そもそも何故太宰だったのかというと、スタッフが企画を進める際に読んだ資料の中に、四方田犬彦の『「かわいい」論』(ちくま新書)があり、本作が女性一人称で書かれた小説という紹介があったので、とのこと。語っている少女自身が美少女というわけではないが、その内面の吐露は今回の展示に相応しいと判断し、著作権の喪失したものだけど、太宰の遺族へ許諾を取りに行ったそうだ。そういうわけでこのアニメ、津島家(太宰の本名は、津島修治)公認のオフィシャルとのこと。多分『走れメロス』『人間失格』に続いて太宰アニメの3作目ということになる。

1410_bishojo_jyose2.jpg『女生徒』より。

 同じくトリメガ研究所が手がけた2010年の展示企画『ロボットと美術』に続いて今回もアニメを制作したことについては「美術館は作品を収蔵していても著作権までは持っているわけでない。所有権・展示権はあっても目録などに印刷・出版する際には権利者に使用料を支払っているのが現状。展覧会に美術館は著作権を持てないので“何か著作権を持てる物を作ろう”」(青森県立美術館 工藤健志氏)というのが始まりだという。実際、今回はモデルカステンから『女生徒』の1/35フィギュアが発売されており、将来的には『ロボットと美術』のキャラクター含めてワンダーフェスティバルなどでも版権を許諾したいので「是非当日版権の申請をトリメガ研究所へ」というPRも。確かに地方でもご当地キャラでグッズが出るご時世、地方美術館発のキャラでグッズが出てもいいんじゃない? という気はするが、まずは口コミなりブログなどで広まってほしいなと思う次第。

1410_bishojo6.jpgミュージアムショップには、青森県の田舎館村応援プロジェクトのキャラクター、いち姫も。http://www.saltec.co.jp/ichihime/

 地方の意地なのか東京での開催はないものの、関連イベントとして10月18日に青山ブックセンターにおいて開催記念トーク&レクチャーが開催されるとのこと。詳細は公式サイトや青山ブックセンターのサイトで検索を。アマゾンで図録を購入することもできるので、図録で興味を持った人は是非直接足を運ぶことをオススメする。例えば図録の表紙にもなっているMr.(ミスター)の大作「Goin To A Go-go!!」の描きこみと大きさは紙媒体ではわからない迫力だし、量産フィギュアではない立体造形物は、やはり全周を見てこそなので。大判サイズの絵を原寸で見るというのはライブでいう生音であり、やはりここは本物の迫力を一度体験しておくべきだろう。これから静岡おでんも美味しい時期になるし。
(取材・文/三木茂)

1410_bishojo7.jpgMr.(ミスター)「Goin To A Go-go!!」横幅6.48mの大きさに圧倒。

■『美少女の美術史』公式サイト
http://bishojo.info/

■「美少女の美術史」展 開催記念トーク&レクチャー
美少女展の仕掛け人 トリメガ研究所と考える
地方美術館の運営と展覧会企画

日程:2014 年 10 月 18 日 (土)
時間:18:00~20:00
開場:17:30
料金:1944円(税込)
定員:110名様
会場 青山ブックセンター 本店 大教室
http://www.aoyamabc.jp/culture/bishojo/

青い文学シリーズ 人間失格 第1巻 [DVD]

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ちなみに、ほかの太宰治は「青い文学」シリーズ。堺雅人はさすがに上手。

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