日本人はどう少女に萌えてきたのか? オリジナルアニメも芳しい『美少女の美術史』展

■浮世絵から抱き枕、根付からフィギュアまで 少女の歴史を一気に駆け抜ける

 とはいえ、ぶっちゃけ「日本人は何に萌えてきたのか」という見方でも十二分に楽しめる(笑)。ちなみにアニメ業界からは『魔法のプリンセス ミンキーモモ』『魔法の天使クリィミーマミ』が参戦。『リボンの騎士』や『ひみつのアッコちゃん』の映像も流れていたが、これは漫画原作ということもあって、アニメとしてはかなりボーダー気味。ツイッター等では「あれが入ってない」「これは何故ないんだ」という書き込みもあったそうだが、大概の作品にはアタックをかけたそうで、その中で快諾してもらったのがこの2作品ということらしい。その代わりと言ってはなんだが、村上隆の『6HP(シックスハートプリンセス)』が抱き枕と共に展示されているのは、ある意味最先端で違和感がない。青森では『6HP』コスプレイヤーのパフォーマンスなどもあったそうだが、こちらではどうなのだろうか。

1410_bishojo2.jpgアニメ作品はイラストと共に、映像も流れるのがポイント。
1410_bishojo3.jpg変身する少女たちの必須アイテム群も展示。
1410_bishojo4.jpg抱き枕が美術館に展示されるという不思議な光景。

 総数300点の展示内容も各地で微妙に変えているそうで、言わば「序、破、Q」なのだそうだ。「序」の青森県立美術館では目録と同じ順番で展示、「破」の静岡県立美術館では変則的な全3部・10章構成、そして「Q」の島根県立石見美術館は……鋭意製作中とのこと。これらの違いは全会場を回らないとわからないかもしれないが、同じ会場でも会期中作品の入れ替えが行われるので、一度見たら終わりというわけでもない。何故そんなところでコンプリート欲を煽るのかは疑問だが、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』に例えてしまうあたり、企画サイドは相当こちら寄りの方々らしい。全体のキャッチコピーも「美少女なんて、いるわけないじゃない。」だが、これも元ネタは「歌で銀河が救えるわけないでしょ」(『劇場版 マクロスF虚空歌姫 』より)なのだから、もう何をかいわんや(笑)。「油絵よりセル画」と言ってしまいそうな、自分のように美術の知識がない人間でも、楽しく見て回れるのはそうした所為だろう。

1410_bishojo5.jpg谷口真人の「Untitled」。

 静岡会場の最後に置かれた谷口真人の作品は、セル画のような透明板にアクリル絵具で少女が描かれており、その裏側を見せるもの。ただし絵の反対側には鏡が置かれており、セル画でいう「表」が鏡に映る。少女の裏側を見ているつもりが、鏡に映った少女から見つめ返され、さらに自分も映るという仕掛けだ。今まで散々少女の展示を見続けてきて、その最後は「おまえが長く少女を覗くならば、少女もまた等しくおまえを見返すのだ」と言っているかのようなオチがなんとも痛烈。

青い文学シリーズ 人間失格 第1巻 [DVD]

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ちなみに、ほかの太宰治は「青い文学」シリーズ。堺雅人はさすがに上手。

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