【初心者歓迎! アメコミ道場 Vol.3】

映画「アベンジャーズ」プロジェクトが100倍面白くなる!! アメリカ現代史に翻弄された“キャプテン・アメリカ”の黒歴史

 大雑把にいえばキャップは、40年代から50年代の“国家=正義”と考えればよかった時代と、個人主義が拡がり自らの正義を模索せざるを得なくなった60年代以降に二分されます。これはアメリカの道徳や倫理観の変化そのものです。復活後のキャップが“時代遅れ”とか“堅苦しい”とかいわれながらも、アベンジャーズ、ひいてはマーベル・ユニバースの軸ともいえる存在でいるのは、歴史の潮流に翻弄されながらも、自らが信じる正義を貫こうとしているからでしょう。キャップは、いつの時代も“自由”と“正義”を体現する“アメリカの理想像”なのです。

 最後にここ最近刊行されたキャップの日本語版コミックスから、オススメの作品を何点か紹介しましょう。正直、スパイダーマンやアイアンマン、スーパーマンやバットマンと比べて、日本でのキャップ人気はそれほど高くありませんが、これらを読んでいただければ、アメリカでキャップがどれだけ重要なスーパーヒーローかが実感できると思います。

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キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー
(小学館集英社プロダクション刊)

 暗殺者“ウィンター・ソルジャー”としてよみがえった、かつての相棒バッキーとキャップとの戦いを描いたシリーズ屈指の傑作エピソード。無類のキャップ・ファンであるライターの(原作者)エド・ブルベイカーによって、スリリングな展開の本編中に散りばめられた、上記のような“キャプテン・アメリカ”シリーズの歴史の断片が楽しい。映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の大元であり、キャップの魅力の集大成。

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シビル・ウォー
(ヴィレッジブックス刊)

 ヒーロー活動を規制する超人登録法案をめぐり、スーパーヒーローたちが賛成派と反対派に分かれて対立! それぞれの派閥を代表するアイアンマンとキャプテン・アメリカの下、最悪の内戦(シビル・ウォー)が勃発する!! 賛成派を率いるアイアンマンと、反対派を率いるキャプテン・アメリカ。対照的な二人のヒーローは、まさに現代アメリカの二面性の象徴だ。

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キャプテン・アメリカ:ロード・トゥ・リボーン
(ヴィレッジブックス刊)

“シビル・ウォー”終結直後、凶弾に倒れて、この世を去ったキャプテン・アメリカ。数々の証言によって解き明かされる英雄の真実の姿とは? 衝撃的な暗殺事件から一年、初代キャプテン・アメリカの歴史を俯瞰した記念碑的作品。

(文/雑賀洋平)

【初心者歓迎! アメコミ道場 バックナンバー】
[vol.0]『キック・アス』『アベンジャーズ』のブームも冷めず…2014年はアメコミ元年!? 今からでも遅くないアメコミ入門

[vol.1]アメコミの表現規制が『キック・アス』原作者を育んだ!? アメコミの自己批評性が生み出したマーク・ミラーという作家

[vol.2]映画『キック・アス』が描かなかった、アメリカがはらむ“正義という名の暴力” マーク・ミラーのアメコミ哲学とは?

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