規制を止める力になるか?「児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください」キャンペーンの行方

 迫り来る児童ポルノ法改定による表現の自由の危機に対して、インターネット上での署名活動が活発化している。

 現在、児童ポルノ法改定に危惧を抱く人々の間で話題を呼んでいるのが、署名キャンペーンサイト・change.orgを使った活動だ。

 change.orgは、2007年にアメリカで設立された世界で4000万人以上のユーザーを持つ、オンライン署名プラットフォームの最大手だ。日本版でも開設以来、効率的に意見を表明できる場として注目を集め、これまでにもオリンピックでのレスリング復活や上智大学での休学時の学費の減額などの成功を勝ち取っている。

 このサイトの利用が開始されたきっかけは、先月、GMOメディア株式会社が同社の運営する無料ブログサービス「teacup.ブログAutoPage」を利用するフィギュア制作者など、複数のユーザーに対して「外部機関より、ご利用ブログに児童ポルノまたは それに類する疑いのある内容の投稿があるという指摘」を理由にブログ削除の宣告をした事件。

 いうまでもなく、現在の児童ポルノ法では二次元はもちろんフィギュアなどの創作物は対象外である。この一方的な削除通告に対して、フリーライターの廣田恵介氏が始めた署名キャンペーン「フィギュアは、児童ポルノではありません」は、開始からわずか一週間で目標の1000人を超える1118名の賛同を集めた。

 これを受けて今月9日、廣田氏は二次元規制反対を掲げる山田太郎参議院議員らと共に、署名を手にGMOメディアを訪問。同社側は、対象とされたユーザーに対して「児童ポルノまたはそれに類する疑いのある内容の投稿という不足した表現を使用したことにより、本来児童ポルノにあたらないものについても該当するかのような誤解と混乱を招きました」という謝罪を勝ち取り、一定の成果をあげた。

 ただ、同社は該当ブログの削除は、広告主からの要請であるとして削除方針は改めていない。
 
 いずれにしても、一定の成果を得たという事実をもって、新たに始まった署名活動が「児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください」である。この署名の目的をキャンペーンのページでは次のように語る。

<以下、引用>

最近、あちこちで「児童ポルノ」という言葉を耳にします。巷では現行の「児童買春・ポルノ禁止法」の対象ではないはずの、漫画・アニメなどの創作物まで面白半分に「児童ポルノ」と呼ばれてしまっています。

本来、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」は児童を保護することを目的としています。しかし、実際の児童性犯罪とは無関係に、漠然と不安感を煽る「児童ポルノ」という言葉だけが一人歩きしていないでしょうか?

 そこで、安易に乱用されている「児童ポルノ」という用語を改め、より本来の目的に即した【児童性虐待記録物】という呼び方を提案します。

<引用終わり>

「児童ポルノ」という名称のおかしさを指摘し、改める動きは2009年に改定案が議論された際に、民主党内部でも見られた。実際には児童虐待の結果である、撮影された素材であるのに「ポルノ」と呼ぶのが、現状に即しているかは大いに疑問だ。そこで、法律の中の、文章のわずかな表現を改めるだけでも、効果は高いと見られている。

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