コミケで「販売停止祭り」が勃発!3日目への懸念と求められるサークル側の意識

1312_comike_yellow_thumb.jpgコミックマーケット85の様子。(写真は2日目のもの)。

 現在開催中のコミックマーケット(以下、コミケ)会場で、新たな祭りが起こっている、“販売停止祭り”という祭典が……。今回のコミケでは、先日報じた「頒布される同人誌の消し(性器を隠すための修正)のチェックが、いっそう厳しくなる」(記事参照)ことがまさに現実のものとなっているのだ。

 コミケでは、開催される当日の朝、頒布予定の新刊同人誌を「コミックマーケット準備会」へと提出し、“ワイセツ物の疑いがないか”などのチェックを受けることになっている。その際に、担当スタッフが判断に迷う場合はさらに上位のスタッフの判断を仰ぐことになるのだが、頒布の可否判断が示されるまで、サークルには黄色の「販売停止カード」が渡されて、勝手な判断で頒布することができない。今回のコミケでは、このカードがこれまで以上の数で発行される事態が起こっているのだ。

 その理由は、今年7月に成人向けマンガを発行する出版社・コアマガジンがワイセツ物頒布容疑で逮捕・起訴され、有罪判決が確定した一件だ。これを受けて、アダルト系出版社では相次いで成人向けマンガの消しを強めている。コミケでは頒布される同人誌の修正基準を、「商業誌に準ずる」としている。そのため、今回の見本誌チェックの判断は、従来よりも厳しく行われているのだ。結果、現場のスタッフが判断に迷って確認に手間取り、販売停止カードの発行が急増したのである。

 未確認情報ではあるが、すでに一日目、二日目で数百枚の販売停止カードが発行されたという話も。明日31日(三日目)は成人向けマンガの頒布が多いとされており、これまでにない販売停止祭りが起こるのではないかと考えられている。

 また、販売停止を受けたサークルからは、準備会が明確なガイドラインを示していないことに不満の声もあがっている。だが、コミケは「全員が参加者」なのが大前提。つまり、マンガのワイセツ基準に対する風当たりが強くなり、準備会が厳しい判断をせざるを得なくなった状況は、知っていて当たり前のハズ。ツイッターなどで「ガイドラインを示せ」などとつぶやいているサークルは、自らが「自分はお客様」「自分の本が売れればよい」という独善を世間に示していると考えてよい。

 商業誌で消しが強化されている現状、11月に準備会が発表したワイセツ基準をめぐる文書を見れば、こうした事態は予測できたものだ。準備会が販売停止カードを数多く発行しなければならない状況を受けて、コミケといった場をどのように維持していくかを考えるのが、参加者のあるべき姿ではないだろうか。同人誌を出す意味を、いま一度考えなおしてもらいたい。
(取材・文/昼間 たかし)

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