よりアニメの楽しみ方を知るために コミケに多数参戦するアニメーター本の魅力を知るべし!

1312_animator.jpgコミック&イラスト クリエイターズ(誠文堂新光社)。※参考画像

「来る者は拒まず」のスタンスで、無数のジャンルが溢れかえるコミックマーケット(以下、コミケ)。その中でも、絶対に注目したい同人誌。それが、アニメーターたちの参加する同人誌だ。今回も、企業ブースから、同人ブースまでさまざまな作画監督修正集、アニメーターのよろず本などが登場している。

 中でも、注目を集めているのは、まずアニメスタイル(企業ブースNo.924)が企業ブースで販売する『カードキャプターさくら』作画監督修正集・設定資料集・キャラクター設定資料集の3冊セット。コミケでの販売は3冊セット分売なしの8000円という特別価格だが、往年の名作だけに、告知と共に大きな盛り上がりを見せている。

 もうひとつ、企業ブースで注目したいのは、サテライト(企業ブースNo.233)で販売される『WHITE ALBUM2 production note』だ。こちらも、コミケ限定で箱が付属するという豪華な仕様だ。ゲームでも大きな話題を呼び、アニメもそろそろ「二期はどうなるんだ!」とファンのやきもきさせている作品……作品の魅力は「おたぽる」で熱すぎるレビュー(参照)を執筆しているLeoneko氏に譲るとして、こちらも是非手に入れたい豪華本である。

 同人でもアニメーター本は目白押しだ。三日目に参加するサークル・太古の月(三日目A81a)で頒布予定の『Index.noteVOL5』は、アニメーター・田中雄一氏による同人誌。コミケ84で頒布された『とある魔術の禁書目録』シリーズの御坂美琴を表紙にした前作(VOL4)の人気を知る人も多いだけに、今回も争奪戦かと噂されている。サークル・第九計画(三日目A79b)で頒布されるアニメ『ロウきゅーぶ!』原画集『ロウりんぐギフト2』は、今回も「まったく小学生は最高だぜ!」という気分にさせてくれそうな一冊だ。また、ちーむI・K(三日目A78a)の新刊『俺の必殺技!!』は、アニメーターに自由に描かせたらこうなったという、まさかのよろず本である。なんでも、山根理宏氏、椛島洋介氏らと若手アニメーターの座談会も収録しているとか。本の装丁も、フツーの同人誌とはちょっと違って特殊表紙の上に、のし紙までついているというから、いったいどんな本なのか、見当もつかない。

 さらに、二日目の高機動プリン体(二日目A29a) では『ラブライブ!』のキャラデザを担当した室田雄平氏がラクガキ本『Rough Sketch2』を頒布予定。同日には別サークルの薬用石鹸(二日目A29b)で、『ラブライブ!』アニメーター同人誌も頒布予定にされており、ファンたちを「始発で間に合うのか?」と熱くさせている。実のところ、アニメーター本、特に同人で頒布されるものは直前まで情報が告知されない場合が多い。ゆえに、アニメーターの告知と共にファンは盛り上がり、買い物のスケジュールを組み直す作業に追われることになる。もはや、告知と共に非日常な祭りは始まっているといってよい。コミケの後も元旦は「四日目」とかあるわけだから、この盛り上がりは大いに楽しむしかない!

 ところで、コミケ、いやオタク初心者にはいまいちピンとこないのは、こうしたアニメーターの制作物に重点を置いた本は、どう楽しめばよいのかということ。そこで、ある有名アニメライターに聞いてみたところ、次のように話す。

「完成したアニメでは、どうしても線は均一なものになっています。ところが、原画の段階では、そうした線が鉛筆の強弱まではっきりと出ているのです。つまり、アニメになったものよりも生き生きとした線を楽しむことができるのです。そして、そうした絵を描くアニメーターにも個性がある。そうしたことを知ると、よりアニメの楽しみ方を知ることができるんですよ」(ある有名アニメライター)

 同一の作品で作画監督ごとの個性を楽しむことは、古くから存在した楽しみ方。しかし、近年はアニメーターに関する情報を、ネットなどを通じてより多く得られるようになった。そうした中で、作品のみならず、アニメーターごとに多くのファンがつくというのも当たり前になりつつあるのだ。また、同人・企業双方ともに、アニメーター本は通常の書店流通を前提に商業出版される原画集などよりも情報が早く、情報量としても濃いという優れた一面もある。もしも、まだ自分が未開拓のジャンルならば、もう一度カタログをチェックしてみるとよいだろう。
(取材・文/昼間 たかし)
※本稿では同人誌について、ウェブ上にて告知されているものに限り、紹介しています。

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