アニメ『映像研には手を出すな!』浅草氏の成長演出に鳥肌!第9話

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 文化祭が終わり、大反響を呼んだ映像研。ロボ研以外にも多くの部活や同好会からアニメを作ってほしいとの依頼が舞い込んだ。しかし、それを金森氏が全て却下。それというのも、アニメを作ることに対する対価が全く見合わないから。

 文化祭での作業時間を時給1時間1000円で計算すると180万円相当の働きをしたことになるという。それなのに実際に稼げた額は2万弱。

 これを負債とし、その額を稼ぐための作戦を金森氏は着々と進めていた。グッズを作り、SNSを操り、次回作のアイデアに使えそうな場所に浅草氏と水崎氏を誘導するなど、放っておくと欲望の赴くままに作品を作り対価について思考しない二人をうまく操っている。

 金森氏がここまで利益を得ることに対して執着しているのには理由があった。彼女は幼いころに親戚が営んでいたお店が潰れるさまを目の当たりにしていた。

 そのお店は有名だった酒蔵から、こだわりが強いが故にどんどん客足が遠のき、さらに立地の悪さが追い打ちをかけてどんどんなんでも商品を置く雑貨屋へと変わっていった。

 その雑貨屋でお小遣い稼ぎとして仕事を手伝っていたチビ森氏。工夫をしたお小遣いをしたりしっかり働くとその分の対価がもらえることが楽しかった様子。大雪でコンビにも閉まってしまうようなときこそ店を開けると、この店だけ設けられると助言するなど、幼いころから商才の片りんを見せる。

 寒い中店に暖を取りに来るお客さんからうまく設けたりする方法を頭を使って生み出していたが、お店は閉店してしまうという。それというのも、少しお客が着たところでお店を維持するためのお金。商品を強いれたり手入れしたりするお金、光熱費などそういったお金がかかり、残ったお金で生活するということが必要なことを知る。

 理想を語ってもお金は得られない。時代にあった需要と供給。そして宣伝がいかに重要かということをこの時に痛感した金森氏。いい店だからと客が来てくれることはない。宣伝なくして商売は成り立たない。こだわりだけではなく客の購買意欲を掻き立てるものを作らねばならない。

 だからこそ映像研も、好きなものを作るだけではなく顧客に購入してもらえるものを作る必要があるというのだ。

 金森氏の策略もあり、映像研の次回作は彼女たちの住まう芝浜の街が舞台となることが決定した。金森氏は文化祭で映像研のファンになってくれたフルーツタンタンメン屋の主人加島を味方につけ、商店街をスポンサーにすることで製作費をゲット。この町を舞台にしたアニメが最終的に町おこしアニメにもつながるという算段だ。

 まだまだ中身はこれからだが、美術部などにも再度協力を頼みアニメを作ることが決定した。浅草氏の設定がまた火を噴く展開になるのだが、彼女はここで新たな一歩を踏み出す。今までああしたい、こうしたい、と口で説明をしていたこと。やりたいことをやりたいようにやっていたが、その行為に名前がついたのだ。

 その名前は「演出」。今まで漠然とやっていた何かを見せたいからこういう風に描いていた、こういう風な動きにした。それらは全て自分の考えた最強の世界を見せるための「演出」だったのだ。構造と挙動。そしてそのすばらしさ。それに気づいた浅草氏の世界はさらに強力になる。

 今まで漠然としていたものに名前がついて自覚して色がついていくあの感覚を、始めて視覚で感じることができた。あの視界が広くなる感じを浅草氏が体験しているのを見て、鳥肌が立った。人が成長する瞬間に立ち会ったような感覚をアニメで得られるってすごすぎる。

 映像研、次の作品は芝浜を舞台にしたUFOが暴れまわるアニメとなる。一体どんなアニメができるのか。そのアニメが出来上がるまでに一体何が起こるのか。楽しみで仕方がない。
(文-三澤凛)

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