『失踪日記』の……。
という説明で語られることの悲しさ。そんな説明はないだろうと思ってTwitterで検索したら、幾人か同じような意見を書いていたのでようやく救われた。
マンガ家・吾妻ひでおの死去の報に、様々な人が自らの思いを寄せている。
様々な語られ方をする吾妻ひでおであるが、間違いなく現代に続くオタク文化の一つの軸を生み出した人物ということは間違いない。
そんな吾妻を語る時に避けて通れないキーワードは「ロリコン」である。
二次元と三次元に寄らず美しい少女を愛でる「ロリコン」というビョーキ(註:病気ではない、念のため)を生み出したのは、間違いなく吾妻の作品群であった。
そのビョーキが黎明期のオタクたちに感染していく最中の1981年10月に刊行された雑誌『ふゅーじょん ぷろだくと』(ラポート)の特集「ロリータ/美少女」では「吾妻ひでおなくして美少女マンガ語れず」として、次のように語っている。
吾妻ひでおは、それまでの数十年間に、幾百の少女マンガ家がそうしたように試みてきたことを、たったこの数年間に、ひとりでとびこえてしまったようなことがある。
いまさらいうまでもなく、吾妻ひでおこそ、もっともエキセントリックに少女を描き続けている作家なのである。
美しい少女を描き愛でて、性的に興奮するという趣味をオタクの中に開花させたのは、まさに吾妻ひでおの作品群であった。
吾妻なくして、現代のオタク文化における無数のフェティシズムもあり得なかったといえるだろう。「ロリコン」というビッグバンを生み出した一点で、吾妻ひでおは永遠に評価される作家なのである。
改めてここに『失踪日記』ではなく、ロリコン文化を開花させた巨匠を讃えたいものである。
(文=昼間 たかし)
【吾妻ひでお】ロリコンという病を生んだオタクの源流。ロリコンなくして語れない吾妻ひでおの訃報のページです。おたぽるは、漫画、マンガ&ラノベ、昼間たかし、ロリコン、吾妻ひでおの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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