コミケで話題の中国人コスプレイヤーALL、悪質カメコに鋭いパンチを送る「ぶっとばしてやるよ！」【インタビュー】

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「あの人たちは、写真を撮りたいんじゃなくて、自分の性欲を満足させたいだけでしょう。中国人だったら性欲を満足させたいんだったら、お金を払って風俗行くだろうし。写真を撮りに来たりしないですよ」

　騒動で名前が知られたことで、Twitterに絡んできたり、ダイレクトメールを送ってくるヤツも後を絶たない。タチの悪いのはALLの側にも非があると、したり顔で語る者たち。「露出の多いコスプレ写真をアップしているのだから当然だろう」というようなものだ。

　ALL自身、SNSで露出度の高いコスプレ写真をアップしたり、写真集を販売している。撮影される時も「私が断らなければ大丈夫」と大らかだ。だからといって、それが「そんな女なのだから、なにをされても仕方がない」というロジックになるとは思えない。

　まだ18歳のALLだが、いくつかの信念はある。「露出度が高くても美しくできるし、セックスはいやらしいことではない」という。その露出度も「ビキニはいいけど、乳首を絆創膏で隠しているようなのはいやだな」と、キッパリと線引きをする。

　小学生の時に『名探偵コナン』や『東京ミュウミュウ』などの日本産アニメをきっかけに、オタク文化に親しんだALLは探究心も情熱も際立っている。好きなゲームに『鳥籠のマリアージュ』のような乙女ゲームを挙げるかと思えば、男性向けのILLUSIONのゲームも楽しんでいるという。「これが私の部屋です」と見せてくれたスマホの画面には、堂々と鎮座する、1/2スケールすーぱーそに子を中心に綺麗に棚に並べられた、幾つものフィギュアがあった。

　コミケでもやはり18禁の同人誌を手に入れたのかと聞くと、嬉しそうに「コミケで買えなかったので、秋葉原でシュイロンジンの本を買ったという」。誰かと思ったら、貞操観念から解放された独特の世界観で人気のマンガ家・水龍敬のことだった。

　そんな風に日本のオタクカルチャーに触れてきた彼女だから、コスプレにも興味を持つのは当然のことだった。最初の頃は『ラブライブ!』の小泉花陽のコスプレをしたりもしていたが、憧れたのは露出度の高いコスプレイヤーたち。心が躍るのはカメラマンに撮影されるよりも自撮りのほう。「だって、そっちのほうがエロいと思うし……」。それでも今はまだ、自分で買ったり衣装を加工したりして試行錯誤している段階だ。

「自分のスタイルを探したいですよね。人と同じことをしたくはないです……」

　気になるのは、日本でダウンロード販売している写真集の値段だ。この手の写真集の相場である2000円のものもあるが、500円だとか660円という激安なのではないかと思う写真集も目立つ。そのことを指摘すると、少し恥ずかしそうな顔をした。

「中国でコスプレイヤーさんが売っているのは、もっと枚数が少なくて値段も高いですよ？　私のは、暇な時に撮影しているだけで、そんなに準備してないんですよね。自撮りとか朝起きた時に撮影したりしているし……」

　この言葉に、ほのかにALLのコスプレをすることへの真摯な気持ちが感じられた。

　コミケの騒動から一週間あまりが過ぎたが、彼女のTwitterは騒がしい。リプライだけでなくDMでも応援の言葉に混じって、卑劣な言葉が次々と飛んでくる。「可愛いえっちしたい」と性器の画像を送りつけてくるヤツ。「豚」だとか「ブス」という言葉をぶつけてくるヤツもいる。そんなヤツらにALLは負けてはいない。

「Twitterでそんなのを送ってくるのは、貧乏でカネのないヤツですよ……私は同じレベルじゃないから」

　この騒動がきっかけとはいえ、撮影会の依頼も来た。冬コミでは友人の絵師と一緒に、写真集をつくって頒布する計画も進めている。9月初頭までの日本滞在の後は、また忙しい。普段は学校で料理を学んでいる傍ら、最近は韓国語の勉強も始めた。それに、今度は日本の語学学校へ留学しようかとも考えている。まだ18歳の彼女の夢は涌きだして止まない。

　そう、取材の中で印象に残った瞬間がある。話を聞かなかったカメコを非難する中で、彼女がボクシングをやっていることに触れた時だった。

「3カ月くらいしているんです……。毎日5時間トレーニングして1カ月で15キロ痩せました。だから……ぶっとばしてやるよ！」

　すっと立ち上がって、幾度か空に放たれたパンチは本当に鋭く重そうだった。
(文＝昼間 たかし)

 
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