七瀬さくらインタヴュー

『<推し>が最高に尊くなる ツーショットチェキポーズHANDBOOK』 七瀬さくら〜運命づけられた独歩行

「なんで、あなたはぼくのTwitterをブロックしているんですか?」

 取材の前はたいてい憂鬱だ。どんな人物に会う予定でもいつもそうである。その人が、文字にしたくなるような、ひっかかりのある言葉を連ねてくれるとは限らない。それに、その場のインタヴューは楽しくても、いざ仕事場に戻ってテープを聴きながら文字に起こしていくと、さほど書きたくなるような話ではなかったなんてことは、ざらにある。

 その日のインタヴューもそうだった。季節は初春。知人の編集者から自分が手がけた本を取材してくださいと連絡してきてから、しばらくの時間が経っていた。

『<推し>が最高に尊くなる ツーショットチェキポーズHANDBOOK』

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『<推し>が最高に尊くなる ツーショットチェキポーズHANDBOOK』(マイウェイ出版)

 連絡のあと、仕事場に送られてきた本を読んでから、しばらく悩んだ。なにをどう取材すればいいのか、皆目見当もつかなかった。

 本の内容は、タイトルそのままである。多くのアイドルと呼ばれる乙女たちが存在しているのは知っている。そうした乙女たちの大事な収入源となるのが握手会だとかチェキの撮影会だということも。いまやアイドルに自分の人生の限られた時間を割いている人は年齢や職業を問わない。まさか、アイドルなんて興味ないだろうというような人が突然に人生の選択を変える姿も当たり前のように見ている。そうした人たちに向けた本。ともすれば、直立不動になるしかないアイドルと一緒に撮影する時のポージング。その豊富な事例を記した本であることは、よくわかった。

 でも、そのことをどう取材して文章にしていけばいいのか。それは、とても悩ましい問題であった。なにも考えずに楽しく本の内容をヨイショする記事を書くだけならば困らない。本の上っ面を撫でるように褒めて、小一時間ばかり、笑いを交えて関連する楽しげなエピソードをつなげればいいだけである。

 それならば、なにも悩むことはない。そうやってお茶を濁す手もあるだろうけれど、そうはできないと思った。いま出版業界の人たちは一様に「本が売れない」と嘆く。そうした中で決して採算の取れない本を出すような余裕のない出版社が、この本を出版することを決めたこと。そして、仄聞するアイドルファンの界隈では、この本がにわかに話題になっていること。自分自身、編集者からの依頼を断らなかった、ひっかかりがなにかあるのだと思っていた。けれども、その正体はわからなかった。

 取材の前日になり、ようやく準備する気になって著者の七瀬さくらに関する情報を集めることにした。まず検索するのはTwitter。近年、情報発信に使う人は多いし罵倒も含めて関連する様々な意見を拾うには欠かせない。すぐに本人のTwitterアカウントが見つかった。過去の発言までじっくり読んでみようとクリックした。

 なぜかブロックされていた。

 がぜん、楽しくなった。理由はわからないが、こちらをブロックしているのは事実である。これまで、ブロックすることもされることもたびたびある。それでも、最初から自分のことをブロックしている人に取材にいくという気はまたとない。むこうはこちらのことを調べていないのか。あるいは、顔を会わした途端に文句のひとつもいってくるのか。はたまた、自分の本の宣伝だからとそしらぬ顔でインタヴューを受けるのか。様々なことを想像すると楽しくて、その夜は眠れなかった。

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