【最終回】直球マッドサイエンティストもの&切ないダークファンタジー2話連続放送!『世界の闇図鑑』第12、13話レビュー

 いわゆる「マッドサイエンティストもの」と呼ばれるお話である。「半魚人を作ることのどこか『地球のため』なのか?」「一人でちまちま全人類を半魚人にするつもりなのか?」とツッコミどころを挙げればキリがないが、まあ「頭がおかしかった」ってことでしょうな、「マッド」サイエンティストだけに……。

 イラストは本田淳。どうかというくらい古臭い、昔の外国の挿絵のような絵柄が古臭いお話と見事にマッチしている。セピア調に統一しつつ、ヒューマンフィッシュの目だけが赤いカラーリングもナイス仕事だ!
 往年の海外怪奇ドラマを彷彿とさせる第12話。だが続けて放送された第13話「霧につつまれた樹木」はビックリするほと方向性が異なる内容であった。こんな話である。

1706_yami13.jpg『世界の闇図鑑』公式サイトより

 とある国のとある森。帰宅しているエミリーの行き先を霧が覆い始めた。

エミリー「どうしよう、道の先が見えないわ……」

 ふと振り返ると、大きな樹の下に3人の青年が佇んでいた。

青年たち「困ってるのか? だったら引き返せばいいじゃないか」
エミリー「そうもいかないわ。おばあさんが待っているし、学校の宿題もあるし」
青年たち「でもあの霧の中には魔物が住んでいるよ。止めた方がいいよ」
エミリー「そんなこと言われても帰ります。怒られますから」

 エミリーは少年たちを退け、先を急いだ。
 見ているとすぐに分かるが、エミリーの外見、そして森の中にいるシチュエーションは「赤ずきんちゃん」ソックリ。視聴者がそう思うよう、露骨に似せて描かれているのだ。何故? どういうこと? 内容に戻ろう。

 やがて濃い霧に包まれるエミリー。遠くから何かが接近して来る……
 それはエミリーの祖母に似た影だった。

影「エミリー! エミリー!」

 エミリーの頭に祖母との日々が思い浮かんだ。
 何かあるとすぐ激怒し、孫を鞭打つ残忍な祖母。母親を亡くして以来エミリーをいじめている祖母。
 そんな祖母そっくりの影が、怪物のように迫って来る!

エミリー「おばあさま、許して!」

 泣き叫びながら逃げるエミリー。しかし今度はたくさんの影がエミリーを待ち伏せていた。
 その影は親のいないエミリーを毎日のようにからかう、生徒や教師に似ていた。

エミリー「どうして霧の中にみんながいるの?」

 愕然とするエミリーを、影が飲み込もうとしたその時!

青年たち「危ない!」

 3人の青年たちが、霧の中からエミリーを引きずり出した。すんでのところで助かった彼女に、青年たちは語りかける。

青年たち「この霧の中では自分が恐れているものが影となって現れるんだ。そして魂を奪う。
     僕たちは君の魂を救いに来たんだ。ほら、お母さんも待っているよ」

 青年たちに連れられたエミリーが見たものは、優しく微笑む、死んだはずの母親の姿だった。

母親  「エミリー!」
エミリー「お母さん!」

 涙を流して走り寄るエミリーを、母親は優しく抱き止めた。青年たちは2人に寄り添うと、

青年たち「よかった、これで君の魂は守れる……肉体はいただきますけどね……」

 パキパキパキ、と奇妙な音とともに、エミリーの体は樹木へと変化していった。
 霧が晴れた。そこにはエミリーと母親、そして青年たちの顔のような隆起がある、大きな木があった。

 この地域では霧が晴れた直後にしか見えない、奇妙な樹木があるという。人面に似た幹の数は年々増えているらしい――おしまい

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