■平面的に動かす手法は「カットアウト」 ソフトの趨勢がコンテンツの寿命を左右?
現在のアニメはメイキングなどを見てみないことには、どのように制作されているのかが分かりにくい状況になっている。先述のように使用した制作ソフトの側面から見てみても、アニメ作品のジャンルを2D手描きと3DCGとで厳密に区別して考えるのは、意味をなさなくなってきているのが分かるだろう(話はワークフローや携わるスタッフの待遇改善にまでつながる)。
また2D手描き制作ソフトの多くに3DCG技術が応用されるようになったからといって、従来の手描きよりも簡単になったともいえない。キーフレームの原画の間を補完する動画の調整は3DCGと同じくらい、コツを掴むのが大変だからだ。コマ撮りと同様に、納得のいく動きになるまで、延々と作業を続けることになる。
ちなみにコマ撮りの制作において、人形などの立体ではなく、紙やセルなどの平面を動かす手法は「カットアウト」と呼ばれるが、デジタルで平面的に動かす手法も「カットアウト」と呼ばれている。2D手描きと3DCGの話題でコマ撮りが引き合いに出されることが少ないためか、初めて聞く人の方が多いだろう(ちなみに、映画やテレビなどで音声や映像を急に消す演出手法も「カットアウト」と呼ばれる)。
つまり視聴者から“「Flash」みたい”とか“「MMD」みたい”と言われてしまう理由には、補完する動画の調整をマスター仕切れていないのが一因としてあり、ソフトのせいでも気軽に制作を楽しみたいユーザーのせいでもなく理不尽な喩えとしか言えない(ちなみに「MMD」は「MikuMikuDance」を略して呼ばれる3DCGソフトだが、モデリング機能はない)。
なお「Flash」は15年に「Animate」に名称が変更されたが、過去バージョンとして「Flash」も使い続けることができる。アニメ業界でも「カットアウト」としてではなく、従来の手描き作画として愛用するアニメーターは多い。時代は確実に次へと移っているにも関わらず、コンテンツの寿命を左右しかねない不名誉なイメージに悩まされている。
(取材・文/真狩祐志)
■AnimeEffects
http://animeeffects.org/
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