「AnimeEffects」が話題になる一方、「PICMO」は販売終了! コンテンツの寿命は制作ソフトに影響されるのか?

 2000年前後からパソコンやそのソフトが安価になったことにより、アニメ制作が簡単になったと言われ続けてきた。しかしどれだけ道具が安価になろうとも、制作が簡単になったとは言い難いのが現状だ。創作の裾野を広げるためには、むしろ気軽に制作できること自体こそが重要で、ソフトのユーザー全てがプロ並みのスキルを習得する必要はない。

 その反面、多くのユーザーを獲得したソフトが予期せぬ影響を及ぼすことも。たとえば、たびたび商用作品が“「Flash」みたい” “「MMD」みたい”などと、揶揄されがちな傾向にあることも無視できないだろう。実際に該当するソフトが制作上で使用されたのか否かはさておき、作品の出来とからめたこの種の発言は、コンテンツの寿命を左右する事態になりかねない。本稿では、これら一連の流れを振り返っていく。

「AnimeEffects」が話題になる一方、「PICMO」は販売終了! コンテンツの寿命は制作ソフトに影響されるのか?の画像1画像:「AnimeEffects」公式サイトより

■アニメ制作ソフトの多くに3DCG技術が応用 キーワードは「メッシュ」「ボーン」

 最近話題になったソフトに、4月に正式公開されたばかりのアニメ制作ソフト「AnimeEffects」があるが、本ソフトが無償であることよりも、3DCG技術の応用に留意したい。3DCGとはいえ、CGキャラクターを丸々1体モデリングするのではなく、描いた絵を変形させたり、動かしたりする「メッシュ」という機能が注目点。

 この「メッシュ」は薄い板に網目を施した形状をしており、07年に「After Effects」へ実装された「パペットツール」や、10年に「Photoshop」へ実装された「パペットワープ」などで、3DCG界隈以外にも知られるようになった。現在「メッシュ」は、多くのアニメ制作ソフトに応用されている。

 ちなみに「After Effects」に「パペットツール」が実装された当時は、「Flash」に実装すればいいのにという声が多く聞かれたが、08年に「Flash」には「ボーン」が実装された。こちらは描いた絵を変形させたり、動かしたりする際に、骨を入れる感覚で形状を調節するという機能で、もちろん先述の「AnimeEffects」にも実装されている。

「AnimeEffects」が話題になる一方、「PICMO」は販売終了! コンテンツの寿命は制作ソフトに影響されるのか?の画像2画像:「手描きスケッチによるモデリングシステム『Teddy』」より

 上記3DCG技術の変遷を辿る場合、東京大学の五十嵐健夫(現:教授)が1999年にCG技術カンファレンスの「SIGGRAPH」で発表し、優秀論文賞を受賞した「手描きスケッチによるモデリングシステム『Teddy』」が欠かせない。「Teddy」が画期的だったのは、CGキャラクターのモデリングを、2D手描きの感覚で試みることだった。

 その後、五十嵐は03年に「うるまでるび」とアニメ制作ソフトを開発。うるまでるびは90年代前半に『ウゴウゴ・ルーガ』(フジテレビ系)内のコーナーアニメ『しかと』、近年では『おしりかじり虫』などを手掛けたことで知られるクリエーターユニット。ソフトの開発は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の未踏ソフトウェア創造事業に採択されたことで進められた。

「AnimeEffects」が話題になる一方、「PICMO」は販売終了! コンテンツの寿命は制作ソフトに影響されるのか?の画像3画像:「PICMO」公式サイトより

 また五十嵐は、05年に「物体の堅さを表現した2次元形状の操作手法」と題した研究を発表。その際に「MovingSketch」と名付けられていたソフトは、うるまでるびが設立したチェリコ・エンターテインメントより09年に「PICMO」として発売となった(残念なことに「PICMO」は昨年、ひっそりと販売終了になっている)。

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