『ちびまる子ちゃん』脚本・高橋幹子インタビュー!! 話題になったあのエピソード誕生の過程とは!?「いい話だなー」率の高い注目脚本家を直撃!【後編】

1611_maruko06.jpg「『父と娘の日曜日』の巻」より(C)S.P/N.A

「『父と娘の日曜日』の巻」は……最初はお父さんとまるちゃんで、と思ったんです。これがなかなか上手くいかなくて、3稿までいっちゃったんです。そこで、熊谷さんから「パートナーをお姉ちゃんにしてみたらどうだろう」というご提案があって。というのも、ヒロシとまるちゃんは仲が良過ぎるんですよ。

―― 似たもの親子ですよね。

高橋 そうなんです。このお話で描きたかったのは、「父と娘ってギクシャクするもの」ということでしたので。私自身、父と2人きりになったとき、何を話したらいいかわからない、という時期がありまして。ヒロシとまるちゃんだと似たもの同士だからなかなかそういう雰囲気にならないんです(笑)。

―― 年齢的にも、お姉ちゃんは父親とギクシャクしだす頃合かもしれませんね。

高橋 そうそう。書いていて思いました、やっぱお姉ちゃんはそういう時期なのかもなと。また一見、父親というのは気難しかったり、だらしなさそうに見えて、実は家族を気遣っている、ということも書きたかったんです。父は「尊敬」、母は「大好き」、自分が両親から学んだことを、『ちびまる子ちゃん』に落とし込んだ作品です。

―― その2本の間に放送されたのが「『静岡の国のアリス!?』の巻」(1055話/6月5日放送)です。

高橋 これはアフレコ現場にお邪魔したので、その時の印象が強いです。声優さんもすごいけど女優さんもやっぱりすごいですよね! シャーロットさん(シャーロット・ケイト・フォックス)は指示やリテイクをもらうたびにこうやって(小さく両コブシを握るポーズをとって)「OK!」とか「ファイト!」とか小さな声で自分を励まして、絶対にめげない。プロの姿を見せてもらいましたねぇ。

―― 「『丸尾君、夏休みに選挙活動をする』の巻」(1065話/8月21日放送)は、個人的に大好きです。

高橋 新学期になって学級委員の選挙で丸尾君が張り切るというお話は以前にも何度かあるんです。でも彼のことだから、一年中、学級委員のことを考えているのでは? と思いまして。特徴的なのは、クラスメイトをたくさん出そうと思ったんですよ。

熊谷那美(以下、「熊谷」) セリフがない子もいますけど、顔はいっぱい出しましたね。

高橋 そのわりにはセリフも最小限に抑えられて、我ながら素晴らしいと思っているんですけど(笑)。また丸尾君のがんばりが、かよちゃんを動かすというラストシーンを一番書きたくて。全員の心を動かすのは難しくても、誰か1人の背中を動かせる、“行動する“ってそういうことだと思いますので。

―― 映像も面白かったです、丸尾君がクラスメイトの家を一軒一軒回っていく過程で、いろんな背景の処理をされていて。映像的にも面白い1話でしたよね。

熊谷 ラストを除けば基本ばかばかしいというか、笑えるお話なので、そういうお話が合う方に演出をお願いしました。

高橋 あ、やっぱりそういうところも配慮されているんですね。どなただったんでしょうか?

熊谷 市橋(佳之)さんですね。いつもすごく楽しい、笑える回にしてくださいます。監督とも「これは市橋さんに依頼したいね」と一致しまして。

―― そういう相性もやっぱり大事なんですね。

熊谷 そうですね、あったかいお話が合う方もいらっしゃいますし。できるだけ、その人に合うお話をお願いしたいな、と思っています。

―― 「『なんでもない日の友蔵』の巻」(1071話/10月2日放送)。これまた、ちょっといいお話ですよね。

高橋 アニメ『おじゃる丸』(NHK Eテレ)でご一緒させていただいている脚本家の先輩がおりまして、その方が1年に1回ご自宅にカメラマンを呼んで、年賀状用にご家族の写真を撮ってもらっているんですね。「そのお話、すごいステキですね。参考にさせてもらっていいですか?」と聞いたところ、OKをいただいて脚本にしたという1本です。

 ただ、そのご家族はいろいろポーズを取ったりして撮影されるそうなんですが、それとは逆にしてみました。何でもない瞬間、たとえば爪を切っていたり、髪の毛をとかしているような日常の写真を撮る話にしようと。旅行先や誕生日とかの記念写真はあっても、「普段の姿」を撮った写真って、なかなかないと思うんです。誕生日という特別な日に、なんでもない日の写真をプレゼントする……これが浮かんだ瞬間に、「あ、見えた」と書き出しました。

 盗撮のようなアイディアは監督です。こうしてみると、監督のおかげで、切り口が斬新になったり大胆になったりしていますね。ありがたいです(笑)。皆さんも何でもない日に写真を撮るという機会はあまりないと思いますが、後になったらこういう写真のほうが大事になってくるんじゃないでしょうか。オンエアの後、実家の両親から「確かに家にもそういうのないな。今度撮ってみるか」と連絡がきました(笑)。

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