『ちびまる子ちゃん』脚本・高橋幹子インタビュー!! 話題になったあのエピソード誕生の過程とは!?「いい話だなー」率の高い注目脚本家を直撃!【後編】

―― ちなみに自分が担当されたお話以外で、印象的だったエピソードはありますか?

高橋 たくさんありますけど、絞るのがなかなか難しいですね……印象に残っているのは、松島(恵利子)さんが担当された「『まる子と絹とお蚕さん』の巻」(1023話/15年10月4日放送)。まるちゃんが絹、蚕のことを学ぶというお話なんですが、考えさせられました。蚕があんな切ない生き物であるという、感動する内容を10分ちょいの間にまとめられていて……しかも説教臭くない。「命」という難しい題材に向き合いながらも、絵本のようにわかりやすく作られている。いち視聴者としても、いち物書きとしても学ぶところがたくさんある作品でした。

■『ちびまる子ちゃん』の世界同様、温かい製作現場

―― 『ちびまる子ちゃん』の、他の脚本家さんと交流があったりするものですか?

高橋 年に一度の忘年会のときぐらいしかお会いできないんですけど、その際に色んなお話をします。脚本に対する悩みなんかにも、すごく真摯に丁寧に応じてくれて。『ちびまる子ちゃん』の脚本家は皆いい人なんですよ!

 たとえば当時私が2~3年目だったときに、「どうやったら10年間、続けられますか?」なんて質問をしても、惜しみなく「それにはね……」と教えてくださって。学ぶことが多いです。なんというか男性でも女性でも穏やかな人ばかりで。お会いするのは1年に1ぺんでも、毎週作品を観ているので、どこかで繋がっている気がします。

『ちびまる子ちゃん』に限らず、TVアニメは数人の脚本家で作ることが多いんですが、お一人お一人からたくさんのことを学べるなぁと。それは作品からだったり、その方の脚本家としての姿勢からだったり。脚本家は年がら年中、机に向かい、構成はこうして……台詞はこうして……キャラクターは……と、すべて「ひとりでジャッジする孤独な作業」なので、同業者の方に対して、ライバル心というよりも、同士、励みになる存在、であることの方が多いと思いますね。どの方からも学ぶべきところがあり、憧れの人がたくさんいて、だから続けていけるんだと思います。

熊谷 ちなみに『ちびまる子ちゃん』は脚本家に限らず、全スタッフ、そういう感じなんです、穏やかというか。

高橋 そう! 私は「日本アニメーションさんに就職したかった!」とよく言っているんです。実際、入社したら大変なこともあるかもしれませんけど(笑)、打ち合わせで毎週通っていると、皆でカレーを食べていたり、お花見とかもしているのがほんとうらやましくて。歴代の担当PDさんも、山本さんも熊谷さんも人がよくて、ライターにとって働きやすい会社だと思います。打ち合わせに来るのが楽しいですもん。

―― 『ちびまる子ちゃん』の現場が実は超ギスギスしている、とかだったらいやだなと思いましたけど、良かったです(笑)。

高橋 現在、山形新聞で連載中の『アートフロンティア』というエッセイでも書かせていただいたんですけど、最初は監督が壁に見えたんですよ、14本も出して全部ダメだったわけですから(笑)。でも今はもう1本の大きな木、アニメ『ちびまる子ちゃん』の幹だなと思っているんです。監督から指摘される箇所って、私がネタとして出しつつも、う~んと不安に思っていたりするところばかりで。「ああ、監督、やっぱり気付きましたか」みたいな。その「眼」に脚本家としてものすごく信頼感を抱いてます。もちろん、ここを膨らませたら面白くなるかも、というところも一緒で。

 監督が1本の大きな木、ブレない強さを持っているからこそ、みんなが安心して制作を進められる、そんな現場だと思います。もちろんそんな監督は、原作者のさくらももこ先生の世界感を一番大切にしています。またプロデューサーの田中さんや制作担当の熊谷さんが、現場が作業に集中できるよう、常に気を配って下さっているのも、とてもありがたいです。お2人ともとても親しみやすい雰囲気をお持ちで、私、ものすごーくホッとしてるんです。「作品」を作るのは現場でも、「作品を作れる環境を作る」のはプロデューサーや制作担当の方のお仕事ではないかと思っておりますので、楽しく打ち合わせに行ける、というのは田中さんや熊谷さんの環境づくりのうまさだと思うんです。

―― 現場の雰囲気がいいところは、それがやっぱ作品にも伝わるんでしょうね。

高橋 そうですね。だから私は、旅行に行くと必ず『ちびまる子ちゃん』と『おじゃる丸』チーム用のお土産を買っていくんです。それぐらいこのチームが好きなんですよ。そういうムードだから、楽しいお話が作れていると思いますし、そういうムードを監督をはじめ、プロデューサーや皆さん、もっといえばさくらももこ先生の生みだした『ちびまる子ちゃん』という世界が、作りだしてくれているんだと思います。

 アットホームな雰囲気のもと、ネタ出しや脚本作成は厳しく、という環境で制作されていたアニメ『ちびまる子ちゃん』。レビューしていて感じた日曜夕方に相応しいんだけど、最近何だかアグレッシブで面白いと感じられたのは、全然気のせいではなく、さすがに伊達ではなかった“国民的アニメ”の看板。

 なお、本日11月20日第1078話 「『さくら家のお医者さん』の巻」は、インタビューに応じてくれた、高橋氏が脚本を担当! 気になった人は、オンエアをチェックしてみてはどうだろうか。

1611_takahasisan.jpg脚本・高橋幹子氏

■TVアニメ『ちびまる子ちゃん』
・公式サイト http://chibimaru.tv/
・公式Twitter @tweet_maruko
・放送情報
毎週日曜日夕方6時よりフジテレビ系にて放送中

■日本アニメーション公式サイト
http://www.nippon-animation.co.jp/

アニメ『ちびまる子ちゃん』
(C)さくらプロダクション / 日本アニメーション

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