『ちびまる子ちゃん』脚本・高橋幹子インタビュー!! 話題になったあのエピソード誕生の過程とは!?「いい話だなー」率の高い注目脚本家を直撃!【後編】

1611_maruko05.jpg「『永沢、班長になる』の巻」「『たまちゃん、班長になる』の巻」より(C)S.P/N.A

―― 次が我々もレビューさせていただいた、「『永沢、班長になる』の巻」「『たまちゃん、班長になる』の巻」(第1048話 4月17日放送)。

高橋 そんな話題になるとは思わなかったんですよ。当初は「永沢班長になる」という1本分のネタを提案していたんです。ところが監督や、先ほどもお話に出たアシスタントプロデューサーの山本さんから、「高橋さん、これは30分のお話になるよ」「これはたまちゃんの班のことも書かなきゃダメだよ」「オチにするのはもったいないよ」と。

 これが会議、ブレストの醍醐味ですよね、まるで自分からは出てこない発想が出てくるという。それで30分、2話構成のお話になったんです。で、監督に「どう30分にしましょう?」と聞いたんです、そうしたら「少し時間をズラせばいいんじゃないか」と。

―― 少しずつ時間を遡って、Aパート、まる子の裏でたまちゃんがどんな苦労をしているかを、Bパートで描かれていました。

高橋 そうなんです、Aパートでこんなことをやっている間、裏ではこんなことになっていたというのをBパートで見せるという――これも監督の大胆な発想で、「あ、見えた」と思った作品です。自分はいかにズレが生じないようにするか、どうしたらAとBをリンクさせられるかという部分に一生懸命で、話題になるなんて全然思っていなかったので、レビューしてくれたときはうれしかったですね。

―― たまちゃんはもちろん、永沢も、たまちゃんのお母さんも良かったですよね。

高橋 そう、永沢が良かったですよねぇ。リーダーシップを特に持ち合わせていない人でも、リーダーをやってこそ学べることがあるじゃないですか。自分もOLを15年間やっていたとき、頼りになる上司もいれば、そうじゃない上司もいて。そうじゃない上司についたからこそ学べることもあると体験していたので、そういった部分が書きたかったんです。

―― またこのお話がいいなと思うのは、いつもはまる子がボヤいて、たまちゃんが「大変だね」と相槌を打ってくれる。このお話があったことで、実はたまちゃんも同時進行で大変な目にあっていたのかも、という妄想が捗るのが楽しいなと思いました。

高橋 そうなんですよね、そういうことを言わないたまちゃんは偉いし、思いやりがある子だなって。それにたまちゃんのお母さんのセリフがいいですよね、たまえは人を引っ張る力はないかもしれないけど、気づける力があるんじゃないかという……。

広報・弥山 ちなみにそのお話には続きがありまして。なんととある中学校の先生から、お問い合わせがあったんですよ、「道徳の授業で映像を使いたいんですが」と。

高橋 本当ですか!? なんだ、そういういい話はもっと早く教えてくださいよ、いいなぁ、その授業受けてみたかったなぁ~(笑)。

―― 実際、どんな授業になったのか、気になりますね。さて次が「『まる子、お母さんと二人きりになる』の巻」(1051話/5月8日)。これは「『父と娘の日曜日』の巻」(1060話/7月10日)と、対になっているようなお話でした。

高橋 そうですね、ネタ出しのときから対で出したお話でした。「母と子ども」「父と子ども」というシンプルなお話を書きたかったんです。

 私の父が仕事に忙しい人で、母が私と弟の面倒を見てくれていたんですけど、寂しい思いをさせないようにと、家の中で色んな工夫をして面白がらせてくれたんですよ。例えば、たまには寝室でなく居間で川の字になって寝ようとか言い出して、深夜に放送している再放送の、普段は子どもが見ないようなドラマを一緒に遅くまで見たりとか。家にいながらどれだけ子どもをワクワクさせられるか、というのを、母はすごく工夫してくれたんです。そんな母との思い出をもとに作った作品です。

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