巷で話題のヒトマスモドル(原作)・ズズ(漫画)『ゲキカラブ!』(秋田書店)は、ウワサに違わぬ、悶絶する作品である。
この作品、辛いものが大好きな主人公・幸一が、惚れているバイト先の天然系巨乳娘・冬子と辛いものを食べに行く関係となって、始まる物語だ。物語は激辛ラーメン屋で働く幸一の友人・薫や、バイト先の仲間・カズミなども交えて一話にひとつの料理を紹介する形式で進んでいく。
この作品、幸一や冬子のバイト先が洋菓子店なのは、ご愛敬……と、思いきや、間に甘い物を描いてくれないと読んでるほうが苦しくてしようがなくなる、本気の作品なのである。しかも、読者の脳みそではなく胃とか下腹部あたりに訴えるという新手の作品である。
この作品を手に取るような読者の多くは、ある程度は激辛グルメを体験したことがある人たちであろう。そして、激辛を楽しんだ後で訪れる、翌日のトイレでの苦しみも。この作品は、激辛グルメの強烈な刺激だけでなく、翌日のトイレの苦しみもフラッシュバックさせてくれる作品なのだ。
なぜなら、まず登場するのは、実際に存在する店をもじったものが多い。例えば、第一話には蒙古ならぬ猛虎タンメンが登場する。
そして、料理を食べるシーンの描き方。『孤独のグルメ』(扶桑社)とは真逆のスタイル。古くは『包丁人味平』(集英社)だとか『中華一番』(講談社)だとかで、培われてきた技法。最近でいえば『食戟のソーマ』(集英社)風の手法で描かれる。
すなわち、一口食べたヒロインは、夢中で二口目、三口目をかきこむ。そして、食材や食感などを解説しつつ、ものすごい勢いで完食する。まさに何か麻薬でも入っているのか系の食べ方……。そして『食戟のソーマ』以降登場した、食べているヒロインが媚薬でも飲まされているのか的な悶絶するシーンをとことん描くのである。
そもそも掲載誌が「ヤングチャンピオン烈」なだけあって、描き方も容赦がない。激辛タンメンを一口啜った時点の冬子の表情は、ほとんど挿入された瞬間である。それでも、第1話では作者は、まだ抑え気味だった様子。スープカレーが登場する第3話になると「すごっ辛さが全体にしみる……!」といいながら、ほとんど生中出しされている瞬間の絵になっている。ハバネロチキンが登場する第5話では、さすがの辛さに冬子も驚くのだが「これは、戦いです……」と必死にむしゃぶり尽くす。もう、これは好きでもない男に無理矢理されて、気持ちよくなってしまったのを認めたくない……という瞬間ではあるまいか。
とにかく、そんな描き方をするわけだから、物語に没入してしまう。没入すればするほど、これまで食べた激辛料理の記憶と作品とが脳内にリンクしていく。結果、脳の奥底から辛さに悶絶した記憶と、その翌日のトイレで悶絶した記憶とがリンクして、お腹が痛くなってくるのである。
おそらくここまで読者を没入させるのは、作者も予想外の結果だろう。とにかく読めば読むほどに辛いものが食べたくなる作品であることだけは、間違いない。
(文=是枝了以)
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