【今月の不健全図書レビュー】『セックスが生きがいの人妻たちの生態』爆破予告で休講セックスに爆笑! 

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 9月の指定図書は2冊。毎月追っていると「いつもの通り」なのですが、このところ東京都青少年課という部署はサボってるんじゃないか感も。というのも、昨年までは指定の告示日前には青少年健全育成審議会のサイトに資料が掲載されていたのですが、遅れ気味なのです。大した仕事でもあるまいし、早めにやってほしいものですね。

 さて、指定図書のうち最初に取り上げたいのは『セックスが生きがいの人妻たちの生態』(一水社)。一水社は過去一年間で3度目の指定ですが「またこれかよ」感が半端ない。タイトルからもわかるように青少年が手に取るとは思えない、劇画エロ作品を集めた低価格の分厚い再録誌なんですから。なんたって386ページもあって定価639円+税。マンガ家も昔の原稿で、もう一度お金がもらえる、みんなお得な一冊であります。

 そんなのが指定されてしまった理由を、今回はどんな理屈で語っているのでしょうか?

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 今回の結果を見ると指定該当9、保留3、指定非該当5に別れていて、意外に指定該当が多いのが特徴です。指定該当で目立つのは体液や成功シーンではなく内容面。【母と息子という問題のある設定も】【母と息子の性描写や性具使用もあり】【ほとんどが母子関係という設定で、人格の否定に繋がる】などと、条例内の近親相姦云々の条文が使われてはいないのにもかかわらず、近親相姦描写を問題視する人が多いのです。なんでしょう、現在の聞き取り(打ち合わせ会)に出席する自主規制団体のメンバーには、近親相姦に勃起あるいは濡れてしまう人が多いということなのでしょうか? こんなに近親相姦を問題視する、この人たちの性的嗜好のほうが怖くなります。

 対して指定非該当側のいつも「絵が下手」とかいう人だと思うのですが、今回は【コミカルな内容の短編集】と表現して指定には値しないと発言しています。この、コミカルな内容というのは、実に的を得ています。

 多くのマンガ家が参加しているアンソロジーですが、中でもコミカルが度を超しているのは、セニョール大悦氏の作品。「美叔母はじめての潮吹き」では、冒頭で叔母が下宿している甥のエロビデオを見つけてしまいます。ここで、叔母は「手マンで潮吹き10連発」などのタイトルを見て「あの子B級ホラーマニアだから、きっとインディーズの新作ね」だって。その後、いろいろあって予定よりも早く帰宅した甥にオナニーしているところを見られてしまうのですが、甥が早く帰宅した理由が「行ったらネットで爆破予告があって今日は全面休講って張り紙が……」と強引すぎる展開が。また、少年誌で活躍していたマンガ家の変名ではないかと一部で話題にもなっている東雲天氏の作品も収録されているのですが、こちらもキャラがところどころで昭和の少年誌っぽいタッチになって、コミカル過ぎるという……。

 青少年じゃなくても、興奮は困難すぎる不健全図書指定制度に疑問を感じざるを得ない一冊でありました。
(文=昼間たかし http://t-hiruma.jp/

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/675/675siryou2.pdf

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