【今月の不健全図書レビュー】『お色気人妻ヤリヤリ日記』勃起よりも笑いが先に来る…

――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!

【今月の指定図書】

 9月は、久しぶりに昔ながらのエロ劇画から不健全指定が登場です。『お色気人妻ヤリヤリ日記』(一水社)。定価556円+税なのに辞書みたいに分厚い超お得な一冊です。みずしま聖・富田茂・吉浜さかり・ねむり太陽と往年の作家人が大集結する一冊。おそらく、編集部で保管してある原稿を適当にセレクトして綴じたのでありましょう(笑)。あまりのオトク感に悪目立ちしてしまったのでしょうか?

(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)

 この本に限っては、書店で目立ってしまったがあまり、無理やり指定されてしまった感がぬぐえません。ですので、指定該当とする意見は具体性に欠けます。【ストーリー性も無理が多く、性交シーンばかりである】【内容は大人向けのものであり、セックスシーンのオンパレード】【中年向きに描かれているが、18歳以下の読者が読むのは不適切】確かにそうですが、果たしてこのマンガで興奮する青少年がいるとは思えません。保留とはするものの【タイトルがお色気人妻と書いていて、絵柄も劇画風でとても青少年が買うとは思えない】という意見が出るのは当然です。逆に指定非該当という意見は、具体的で【絵柄が青少年向けでなく、影響は少ない】【描写から読者年齢が高い図書】と言い切ります。

 さらに具体的な意見は【全編コミカルタッチに描かれた面白い作品ばかり。一部、体液描写が過ぎるが、卑わい感は薄い。表紙の絵からみても青少年が誤って手に取ることはないと思われる】というものでしょう。そう、掲載されている作品は興奮より先に笑いがやってきます。みずしま聖「庭師女房の奮闘記」は、冒頭で庭師の夫がセックス中にギックリ腰になったがために奥さんがかわりに仕事することになるのですが、エロマンガなのに依頼主が2ページも使って庭の手入れには時期が重要であることを語り尽くします。なんだ、この庭に対する妙な思い入れは。そして、なんら必然性もなく全裸に半纏で作業をすることに。フツーに考えて怪我をしそうです。エンジ『熟女麻子の危険な夏体験』は小学校教師の熟女が「短大時代の友人」と海に行ったら成長した教え子と再会して……という話。あの、小学校教師の資格って四大じゃないともらえないですよね……?

 21世紀になっても、これらの作品で興奮する需要があることに感慨深くなった一冊でありました。
(文=昼間たかし

今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/09_singi/663/663siryou2.pdf

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