――東京都をはじめ、地方自治体の「青少年・治安対策本部」では、毎月“不健全図書”を挙げ、自主規制団体らと共に審議を行っている。この審議結果は毎回公表されるものの、審査過程での自主規制団体の声が顧みられることはほぼない。エロにせよ何にせよ、どこか尖った作品を大の大人が色々な立場から評価するという、そんな貴重な意見が無視されるなんてもったいない! このコーナーでは、“不健全図書”に指定されたマンガなどを自主規制団体の声と共に紹介していきたい。つまり、クラウド・ファンディング(群衆による資金調達)ならぬ“不健全図書”クラウド・レビュー(群衆による批評)、はじまり、はじまり~!
【今月の指定図書】
いつからか、おっさん向けライトエロスの常連作家となった八月薫。今回、指定されてしまった『マジマン~マジであったマンガみたいな話~』(リイド社)は「シリーズ累計65万部超」なんだとか。前の『八月薫のたまらない話』も指定されておりましたし、八月薫+リイド社のコンビは、指定の常連になりつつあるという具合です。
しかし「シリーズ累計65万部超」。過去10冊くらい発行されているわけですが、1冊あたり6万部以上売れているわけですね。1冊600円として、著者印税10%としたら……うん、いくら指定されても、この商売は止められませんネ!
(以下、別記のない限り、【】内は「自主規制団体からの聴き取り結果」より引用)
そんなたまらなく美味しい作品ですが、内容はどれもほぼ一緒。昔ながらの体験談のマンガ版であります。まあ、だいたい体験系なんてフィクションなわけですが、なぜか絶えないジャンルなんですよね。読者にしてみれば「いつか、俺もこんな美味しい思いができるかも」というワクワク感があるんでしょうか?
今回も、温泉旅館の仲居がイケメンのバス運転手を逆ナン即ハメしたり、会社の美熟女な清掃員とハメたり……そんなバカな! な話がてんこ盛りです。
あまりの話のバカバカしさゆえでしょうか? 指定該当5・保留6・指定非該当6と、今月は指定された2冊とも、自主規制団体の意見結果は、指定非該当のほうが多いんです。
指定該当とする意見では修整のレベル以外に【擬音や性行為が過度に多く、青少年には刺激が強いと思われる】という意見があるんですが、青少年がコレで興奮していたら、有害云々以前に、ほとんどビョーキです。
保留意見で述べられた【劇画タッチで青少年が買うとは思えない】という意見は、かなり冷静でしょう。
こんな批判が多く出る単行本を、東京都はなぜ指定の候補に選んだのか。深読みすると、リイド社が日本雑誌協会加盟社だからじゃないかと思います。マガジン・マガジンは、サン・メディアレップ、双葉社はエンジェル出版という具合に、日本雑誌協会加盟社は、エロ部門を看板だけは別にしつつあります。そんな中、看板を変えずにエロに挑戦し続けるリイド社。東京都としては日本雑誌協会に対するカウンターとして実に有効な気がするのです。
そんな深読みもあってか、ここ1年ばかりは大人しくしていたリイド社。ちょっと緊張の糸が切れてしまったのでしょうか?
いずれにしても、売れてるんだから止められませんよね?
(文=昼間 たかし http://t-hiruma.jp/)
今月の自主規制団体の声
【出典】東京都青少年健全育成審議会「自主規制団体からの聴き取り結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/pdf/09_singi/671/671siryou2.pdf
【今月の不健全図書レビュー】みんなエロ美味しい体験談が好きだな……八月薫『マジマン~マジであったマンガみたいな話~』のページです。おたぽるは、エロマンガ、マンガ&ラノベ、作品レビュー、昼間たかし、不健全図書レビュー、八月薫、リイド社、不健全図書、マジマン~マジであったマンガみたいな話~、hentaiの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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