ポリゴン・ピクチュアズにおける造形監督とは? 片塰満則が語る『亜人』の造形プラン

azin07.jpg造形監督の役割について語る片塰満則。

 そして呼称がまだ普及していない造形監督という仕事内容について「海外の実写の世界でいうアートディレクターで、背景の大道具から、プロップと呼ばれる小道具、場合によっては役者さんのメイク、どんな照明を当ててどんな風に撮るかという絵作りをすること」と解説。「モデルの造形から質感、設定まで見てますが、今後はどんな照明を当てるか、どんなコンポジットをするかまで考えていきたい」と希望した。

 事情として「デザイナーによって絵の描き方が違うんですね。海外のメイキング本を見ると非常に統一された写実的なデザインがされてますが、それだと開発コストもかかるんです」とのこと。社内においても「色んな描き手がいてバランスがいいんですが、デザイナーによって描き方にクセがある」ために必要とされている。

「要するにデザインを生み出す仕事ではないんですね。デザイナーが描いた絵をモデリングするモデラーではなく、デザイナーとモデラーの間に入って、デザイナーが意図するところを解釈してモデラーに伝えます」(片塰)

■効率よく大量のキャラクターを制作するために 「平均顔」や「チキンナゲット」も

 キャラクターをCGで制作する最大の利点は、手描きと比べると、予め長期にわたるシリーズ化も視野に入れ易いところにある。初回に制作した各データは「アセット」として、後々のシリーズに細かな仕様の変更とともに引き継がれていく(「アセット」は「資産」の意)。

azin05.jpg『シドニアの騎士』公式サイトより。

 片塰は『シドニアの騎士』を『トロン:ライジング』と比較しながら「ディズニーが制作したデザイン画と比べるとグラデーションのない、よりアニメ的な絵になってます。線画で描かれてるんですけども、この線が形を伝えるものなのか、本当に線が欲しいのか、モデリングする必要があるのか、テクスチャーでいいのか、非常に判断に迷う絵なんですね。こういうのをモデラーに解釈して伝えていきます」と、実例に触れていった。

 モデラーにとってはとても重要な断面の形が、デザイン画には描かれていないことが多い。また、立体物を様々な方向から矛盾のないデザイン画に起こすことも難しい。特に人体は曲面の集合体なので、三面図を起こしても、あまり意味を持たない。「優れたモデラーは情報の少ないデザイン画からでも形を起こすことは出来ますが、それでもモデラーによって立体の解釈にバラつきがでてしまうんです」。その統一感を見極める作業が造形監督の真骨頂と言えるだろう。

 そして『亜人』の話に。「『シドニア』の2期が終わる途中くらいから着手し始めました。『亜人』は非常にたくさんの登場人物が出てくる作品で、早めに準備をしていかないと映画のスケジュールに間に合わないのが分かってましたから、そうせざるを得なかったのですが、結果、『シドニア』で得た成果を反映することができました」。課題として「カッコいいモデルや説得力のあるモデルを考えるだけでなく経済性を考えなくてはならない」こと、「できるだけ効率よく大量のキャラクターを作らなければいけない」ことが新たに立ち現れた。

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