ポリゴン・ピクチュアズにおける造形監督とは? 片塰満則が語る『亜人』の造形プラン

azin03.jpg『千と千尋の神隠し』(「金曜ロードSHOW!」より)

『となりの山田くん』の波の表現を宮崎駿監督が気に入ってくれたことから、2001年公開の『千と千尋の神隠し』で応用。「嵐のような表現ではなくて、静かで凪いだ透明感のある表現をしてほしいとのことで、島や家の回り込みだけでなく水面への映りこみもCGで処理しています」。先の『もののけ姫』から続く縦移動の例としては、「遠くにある電灯のライトの反射をCGで描き、それを手描きの背景と混ぜて、より観客が没入しやすい視点移動を試しています」とのこと。スピード感を表すモーションブラーも「マンガで見られる流線をたくさん描いて、セルアニメ的な表現を開発しました」という。

「このようにジブリのデジタル処理は目立たなくて地味で、あからさまには分からないんですけども、それを担当したんです。この20年くらい、アニメにおけるCG表現を考え続けてきたわけです」(片塰)

■造形監督はアートディレクター デザイナーの意図を解釈してモデラーに伝える

azin04.jpgポリゴン・ピクチュアズ公式サイトより。

 ポリゴン・ピクチュアズの設立年次は1983年。「誰もやっていないことを圧倒的なクオリティーで世界に向けて発信していく」をミッションとし、略称はポリゴンまたはPPI(「ポリピクはNGでお願いします」)とのこと。片塰が入社した2010年は『トランスフォーマー プライム』『トロン:ライジング』『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』と、海外のテレビシリーズ制作が同時進行していた。

 社内の環境については「スタッフが300人以上いますので、スタジオというよりはファクトリー(工場)に近いイメージがあります。流れ作業のように映像の部品が常にやり取りされていて、『パイプライン(やり取りするための仕組み)』用の管理ツールを開発しながら日々の作業を進めている感じです」と語る。作業工程も「作品によって変化するんですけども、設計にあたる部門と施工にあたる部門を『シドニアの騎士』以降、社内で同時に行えるようにしています。デザイン画があがったらモデリング、そして骨(ボーン)を入れまして、骨が入ったところでレイアウトに進み、それでOKが出ればアニメーションをつけていきます」といった流れだ。

 背景については「日本の作品スタイルとして見慣れたものにしようとしています」との意識があるという。『トランスフォーマー プライム』『トロン:ライジング』『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』ではCGの要素が多めの一方、『シドニアの騎士』『山賊の娘ローニャ』『亜人』ではそこまでCGは多くなく手描きにしている。それから「見た目の開発」を意味する「ルックデヴ(ルックデベロップメント)」にて「どんな質感にするかハイライトや影を設定してからライティング」し、最終的に「レンダリングした絵を合成して編集して納品」となる。

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