ポリゴン・ピクチュアズにおける造形監督とは? 片塰満則が語る『亜人』の造形プラン

 講談社「good!アフタヌーン」で連載中のマンガ『亜人』。アニメ化により1月15日からTVシリーズの放送が始まった。劇場3部作との同時展開でも話題の本作。11月27日に封切られた第1部『亜人 -衝動-』は2週間限定ロードショーだったが、そのうち全国10館では12月17日まで公開が延長されるロングランとなるなど、好感触を見せた。

azin01.jpg(C)桜井画門・講談社/亜人管理委員会

 その劇場第1部『亜人 -衝動-』の公開直前である11月22日、文京学院大学本郷キャンパスで開催の「CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス」にて、本作の造形監督・片塰満則が「劇場アニメ『亜人』における造型演出」と題してセッションを行った。本稿ではその模様をお送りしよう。

■アニメにおけるCG表現とは? スタジオジブリで得た知見

azin02.jpg『もののけ姫』(「金曜ロードSHOW!」より)

 片塰が現在所属するのは本作を制作するポリゴン・ピクチュアズであるが、CG歴は30年になる。転機となったのは20年前、1995年にスタジオジブリに入社したことだった。1997年公開の映画『もののけ姫』の制作において、「セルシェーディングを用いたタタリ神は、当初40カット以上予定されていましたが、作業の遅れから結果5カットのみで、その他のCG処理をあわせると、CG部が制作に関わったのは最終的には50カット程」と片塰は述懐。登場キャラクターではタタリ神(触手)やダイダラボッチ(星粒)で使用したことが知られている。このほか「手描きの背景を擬似的に歪めて奥行きをつけるカメラマップなどですね。そうしたカメラが絵の奥に入っていく縦移動は、アニメーションが非常に苦手としていた表現です。それで縦移動のシーンでCGを使うようになりました」と話す。

 99年公開の『ホーホケキョ となりの山田くん』では、完全にデジタル彩色を採用。高畑勲監督から請けた「せっかくデジタルで色を塗るのであれば、セル画風の絵ではなくて水彩画的な映像を作れないか」との依頼にスタジオ全体が応じた。それに合わせてCGも水彩画的なシェーディングや立体感で表現する開発に取り組むことに。「例えばクラゲ、マンボウ、そして水面ですね。波の質感もCGで作ったものなんですけども、最終的には背景の松林などが描かれた水彩画の背景と合わせて違和感がないように処理を施して完成させました」。またダイダラボッチの星粒を表現したパーティクル技法も最後の花火のシーンで使用した。「この花火もたくさんの画像処理をして、水彩画的になるように作り直しています。また作画のキャラクターもCGで作ったものをアニマティクスとして、それをトレースして動きをつけました」と、キャラクターの動きにも言及した。

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