謎解き、恋愛、吹奏楽、多様な要素をバランスよく、アニメならではの表現で『ハルチカ』橋本昌和監督インタビュー＜前編＞【16年1月新作・監督インタビュー】

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チカちゃんこと穂村千夏設定画

■本人が謙遜しているだけで、チカちゃんは可愛いんです！
――　他キャラで、「ああ、こうなったか」と驚いたり、意外に感じたキャラはいますか？
橋本　実は一番意外だったのは、チカちゃんなんです。個人的に彼女はもうちょっと、なんというか、モッサリとしたイメージがあったので（笑）。ハルタとの対比もあって、原作ではあまり女の子っぽくなくて、ハルタの女性的な部分にコンプレックスを感じている子なので、もう少しダサくてもいいかなと思ったんですけど、そこからハルタを立たせるためにチカちゃんを落とすのではなく、チカちゃんをキラキラとさせた上で、ハルタはさらにその上を行くようにしてもらおうと考えたんです。
――　ハルタの美少年化がより進んだわけですね（笑）。
橋本　（笑）。ただ、『ハルチカ』はチカちゃんが過去を回想して語られていく物語ですよね。チカちゃんはコンプレックスがあるので、謙遜しているというか、どうしても自分があまり可愛くないと感じているんですが、客観的に見ると可愛い子だったんだろうと思うんです。作品全体を通して“チカちゃん目線”を常に意識していますけど、外から見ればこれぐらい可愛くてもいいんじゃないかなと。

――　PVを見るとすごく表情豊かで、男女問わず人気が出そうなキャラクターですよね。
橋本　そうですね。原作でも、決して男性だけから人気がある子じゃなくて、女の子たちもひきつけて、吹奏楽部のムードメーカーのようになっていく。男性だけではなく、女性からも好かれるキャラクターになってほしいと思います。
――　彼女を描いていく際、注意されている演出上のポイントなどは？
橋本　ブリッ子にはならないように、自然体で。彼女は自分を可愛いと思っていませんから――客観的に見れば十分可愛いんですけど――そういう女の子らしさをアピールするようなポーズや仕草はしないようにしています。むしろちょっとガサツだったり、常に何かしら食べていたり（笑）。見た目は可愛いんだけど、遠慮せず正直で、いつもハルタを蹴っ飛ばしたりするような、感情を隠せないわかりやすさがチカちゃんの魅力なのかなと。
――　原作のほうでも一貫して男前な女の子ですよね。
橋本　初野先生の描くヒロインって、皆強いですよね（笑）。あまりか弱い子はいなくて、しっかりとした強い子が出てくる。先生の女性観が出ているのかなと思うのですが、意外と僕も近いところがあるので（笑）、違和感なくやれると思います。

 
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