『サークルクラッシュ!』このオタクたち、妙に一般人に優しい!

 てっきりサークルクラッシャーがヒロインのマンガだと思って買ったら、全然違いました。佐古田康之/原作・こすずめ/作画『サークルクラッシュ!』(KADOKAWA/メディアファクトリー)。

 じゃあ、なんだと思ってたら、最初から人格がクラッシュしている人間ばかりが集うサークル「第二マンガ研究部」を舞台にした作品でありました。

 ヒロイン・美剣恋愛子(ラメコと読むという……恥ずかしすぎるDQNネーム)が、ギャルにもかかわらず入部した第二研究部。理由は、不良に絡まれているところを部員の陣大に助けられて一目惚れしたから。もっとも、陣大は助けたのではありません。アニメが観たくて急いでるのに道を塞いでいる不良が邪魔だったのです。

 で、この陣大。パッと見イケメンではありますが「オタクとは生きざまだ」と語る古いタイプのオタク野郎です。ほかの部員も、それぞれに得意分野を持つオタクたち。部長の鎧塚さんは眼鏡を外すと美人かつ、やっぱり知識を誇るオタク。マイナーカップリングでも自分の信じたものを突き進む盾川さんに、忍者の修行にいそしむ兜首先輩と、妙な方向に秀でたオタクたちが集っています。

 最近ありがちな、ちょっとばかり深夜アニメをみたり、ニコ動を楽しんだり、声優ライブに出かけて「オタクですよ~」とか言ってる類いとはレベルが違います。そしてコイツら、オタクにありがちな自虐ネタなんか欠片も見せず自分の趣味を誇ります。

 そんな濃い空間に迷い込んだ異分子である美剣が、ひたすら空気の読めないヒロインとして活躍するのが物語の大筋であります。

 何しろこの娘、オタクがイラっとすることを一通りやってのけます。好きな漫画を聞かれれば『ワ○ピース』だといい、マニアックなアニメを観て勉強してきたといい、一瞬部員たちをびびらせますが……その作品タイトルは『進○の巨人』。

 あれですね。非ヲタが「エ“バ”ンゲリオン」だとか「ジオンが悪役なんだよね?」とか言ってヲタをイラつかせるのと同じ類いですね。

 でも、いくらイラつかせても部員がブチ切れない=サークルがクラッシュしないあたり、みんなヲタとしては心が広いようです。そう、この作品が教えてくれる教訓はまさに、この部分。一般にキモヲタというものは、知識の少ない人に教えようという精神が欠けています。たかがマンガやアニメの知識くらいで優位に立ってなにが嬉しいのか? と思いませんか。

 作品中に漂う、妙な優しさがヲタ以前に人として忘れてはならないことを教えてくれる佳作ではないでしょうか。
(文=大居候)

サークルクラッシュ! (1) (MFC)

サークルクラッシュ! (1) (MFC)

ラメコちゃんが可愛い……!

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