艶々『落日のパトス』童貞臭を漂わせつつもクズな主人公に鉄槌を下したい!

 今回紹介する『落日のパトス』1巻は、エロラブ界では密かに人気のベテラン作家・艶々が「別冊ヤングチャンピオン」(秋田書店)で連載中の注目作であります。

 物語の舞台となるのは、東京の郊外と思しき静かな住宅街。主人公の藤原秋は、そろそろ連載に手が届きそうな新人マンガ家です。そんな彼が暮らすのは、あと数年で取り壊すことが決まっているため、期間限定で格安のマンション。そこで、毎日マンガ制作に励む秋は、アシスタントを快く引き受けてくれる大学の後輩・まさみちゃんにちょっと恋の予感を感じています。

 でも、この秋クン、そろそろ童貞をこじらせているのでしょうか。「いいなあ、まさみちゃん」といいながら「華やかでもないし、平気でジャージで帰っちゃうし、色気もないんだけど、なんていうか、可愛いな結構……」という視点で惚れているのです。つまり、本質的には、この程度の女の子だったら俺でも付き合えるかも……というゲスな考えなわけですね。そんなゲスな男ですが、童貞ゆえに臆病なのか、彼女が忘れていったタオルの残り香で興奮するのが関の山です。

 それもそのはず、秋クンには女の子に対する青春の痛い思い出があったのです。それは、高校生の時に男子に人気だった巨乳の女教師・仲井間真センセを押し倒して告白しようとしたことがあること。それだけじゃなく、保健室で寝ていたセンセのオッパイを触って気づかれたという、うれしくも悲しい経験もありました。

 物語は、そんなセンセが隣に引っ越してきたことから始まります。しかも、今じゃ教師は辞めて人妻です。そして、壁の薄いマンションからは、毎晩のようにエッチな声が聞こえてきてしまうんです。

 もう、ゲスだか真面目系クズだかの秋クンは、マンガを描くどころではありません。ノゾキまでやらかした秋クンが見たのは、センセが騎乗位で、オッパイを揺らしながらアヘってる姿。こうなると、まさみちゃんに対する性欲ゲージは急激にダウンします。彼女がアシスタントに来ても「可愛いな。でも、今日は早く帰ってくれないかな……」と思うし、作業をしている間も隣からアエギ声が聞こえてこないか気がかりでしようがありません。

 対するセンセのほうも、騎乗位なのはダンナが淡泊だから。欲求不満のあまり秋クンに挑発的なセリフを吐いて濡れちゃったりするのです。

 ページをめくるごとによぎるのは、やっぱり自分でも相手にしてくれそうな地味な女の子を「可愛いな」と思って妥協するべきではないという思いです。いくら隣に越してきたとはいえ、憧れのセンセは今は人妻ということもあり、関係を結ぶには、はなはだ困難が付きまとうでしょう。でもね、お前はジャージで外を出歩くような低レベルな女で満足したいのか! と、なぜか秋クンに対する叱咤を叫びたくなるのです。エロコメだと思って読んでいたのに、主人公の童貞的ふがいなさを情けなく思って、応援したくなるって、このマンガには何か特殊な成分が混じっているようです。

 そして、さすがエロコメのベテランというべきでしょう。第一巻の終盤では続刊への引きとして、さらなる童貞に向けたトラップが仕掛けられていました。泊まり込みでアシスタントをすることになった、まさみちゃんがノーパンで寝ているのではないかと気になって、興奮して必死に確認しようとしてしまうんですから! ここでヤッてしまったら、この女は一生付きまとって、マンガ家の成長を阻害するぞ! とアドバイスしたくなりました。

 こんな風に、ちょっと特殊な読み方をしてしまった本作品。欲求不満気味なセンセは、これから先、どんなアプローチをしてくるのか? 泥沼な展開を期待してやみません!
(文=大居候)

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