『おそ松さん』に実写版『ど根性ガエル』、『ガッチャマン クラウズ』…70年代アニメ“リブート”作品、増加の背景を探る

■“リメイク”はもう古い!? 現代に面白さのコアを移植する“リブート”作品が増加

 こうしたさまざまな背景から、引っ張りダコとなっている70年代アニメだが、ここ最近目立っているのは、当時の風景やスタイルをそのまま再現する“リメイク”ではない。携帯電話が使われる現在、黒電話が主流の70年代作品をそのまま作るのは、朝の連ドラならともかく、ちょっとチャレンジングなやり方である。「待ち合わせの行き違い」や「言葉の勘違い」といった、かつて定番だったドラマの盛り上げ方は、若い視聴者には時代劇の「お約束」同様ピンとこず、通用しないだろう。そこで“リブート”である。基本的な人物配置などの設定はそのままに、舞台を現代にして、物語を再構築する。さらには、象徴的なキーワードのみを残して、根本的に作り替えてしまうこともある。

 例えば、『ガッチャマン クラウズ』などは、まさにこのパターン。確かに主人公たちは「ガッチャマン」に変身するし、悪役「ベルク・カッツェ」も登場するが、敵組織「ギャラクター」はSNSのサービス「GALAX」となり、悪の首魁「総裁X」はSNSに搭載された人工知能に。SNSで扇動され、社会が混乱してゆくさまは、世界征服を企む秘密結社の暗躍よりも、ずっとリアルだ。また、『夜ノヤッターマン』では、ヤッターマンが統治する独裁社会の体制打破を主人公・ドロンボー一味がもくろむなど、“従来設定の逆転”といった工夫も見られる。これ自体は別にまったく新しいわけでもなく、『人造人間キカイダー』のスピンオフで『人造人間ハカイダー』が作られ、ヤマトの好敵手・デスラーを主人公にした『キング・オブ・デスラー』が企画され、ゲーム『ウィザードリィ』4作目の主人公が1作目のラスボス・ワードナだったことからすると、シリーズもののド定番ともいえる。

 いずれにせよ、作る側が自分の中にある「過去の面白かった体験」を、最新の技術で再現したいという欲望は、いつの時代も変わらないだろう。それをそっくり再現“リメイク”したいと思うか、面白さのコアを新しい作品に“リブート”して移植するか――前者は『宇宙戦艦ヤマト2199』だし、先に挙げた『ガッチャマン クラウズ』は後者だろう。「ガンダム」シリーズなども『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』から『SDガンダム』まで、キャパシティの広さがある。一口に“リブート”といっても幅があるのだ。

 それにしても、『おそ松くん』の“リブート”となると、あの「おそ松くん音頭」も“リブート”されるんだろうか? 意表を突いてラップという可能性もあるかもしれない。
(文/石橋正彦)

『おそ松さん』に実写版『ど根性ガエル』、『ガッチャマン クラウズ』…70年代アニメ“リブート”作品、増加の背景を探るのページです。おたぽるは、アニメ話題・騒動の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!