『艦隊これくしょん -艦これ-』第三話 唖然、呆然、憮然、騒然! 歓喜とマジギレの交錯する“轟沈”!!

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『艦隊これくしょん -艦これ-』
第3話「W島攻略戦」

 
【今週の極私的見どころ!】

 赤城先輩の、死に日和。

 出撃を前にひとりで訓練に励む吹雪ちゃんを励まし諭す赤城先輩(CV:藤田咲)。彼女は、存在したその瞬間から、戦うことを運命づけられた艦娘の存在理由を語り、いいます。「戦いが終わった時に、どれだけの艦娘は残っているのか」と。吹雪ちゃん(CV:上坂すみれ)が憧れる赤城先輩。その理由は、航空母艦だからでも、大食いだからでもありません。自らが艦娘であるゆえの運命を理解し、いつ沈もうとも悔いはない。その覚悟を持っているからこそ、赤城先輩は憧れの存在たり得るのです。そして我々提督たちも「今日は死に日和(by『スターシップ・トゥルーパーズ3』)」と出撃する艦娘たちに強い愛情を抱くのです。

【今週のオススメ度】
★★★★★
(前回のあらすじはこちら

 第二話で練度を上げた吹雪ちゃん。いよいよ神通(CV:佐倉綾音)を旗艦とする第三水雷戦隊に組み込まれて、出撃が決まりました。史実じゃ神通は旗艦として艦隊の最先頭で使命を全うしつつ、コロンバンガラ島沖海戦に散ったんだよなあ……と考えているうちにOPも終わり、CMも過ぎて本編スタート。

 第三話のタイトルは「W島攻略戦」であります。この時点で実況民たちも気づきました。「フラグが立っている!」のだと。

 W島……これは、史実におけるウェーク島攻略戦にほかなりません。真珠湾攻撃に続いて行われた中部太平洋の要衝・ウェーク島を攻略する重要な戦闘です。守る米軍は堅く、日本側が駆逐艦2隻を失った戦闘なのですから。

 秘書艦・長門(CV:佐倉綾音)と陸奥(CV:佐倉綾音)が担当する初めての作戦説明に、吹雪ちゃんは緊張気味。そこには、同じく作戦に参加する第四戦隊の姿もありました。睦月ちゃん(CV:日高里菜)は、同じく睦月型の如月ちゃん(CV:日高里菜)と久しぶりを再会し、喜びます。

 さて、今回のW島……いや長門は「ウ島」とはっきりと発音……の攻略は奇襲戦です。夜戦で第三戦隊が敵を誘引した上で、第四戦隊と挟撃。「夜戦」と聞いて、川内(CV:佐倉綾音)だけは大喜びです。

 かくて初の作戦投入に、吹雪ちゃんはまた甘味処・間宮で気弱な言葉を吐くのです。そんな彼女に第六駆逐隊の艦娘たちからは、目がよくなるブルーベリーのプレゼント。利根(CV:井口裕香)からはあんみつ(?)のオゴリです。愛宕さん(CV:東山奈央)は「ぱんぱかぱ~ん」とドラえもんのごとく、お守りをプレゼント。高雄(CV:東山奈央)いわく、その中身は愛宕の「なにか」らしいです。さらに、大井っち(CV:大坪由佳)は「せっかく北上さん(CV:大坪由佳)との時間を割いて教えたんだから、一発くらいあててきなさいよ」と叱咤激励を。

 それでも不安な吹雪ちゃんに、睦月ちゃんは如月ちゃんとの思い出を語ります。製造順でちょっとお姉さんな睦月ちゃんですが、かつての出撃で如月ちゃんに助けられて生き残りました。だから、吹雪ちゃんも大丈夫だと。

 ええと、ここまでにどれだけの「嫌な予感が走っているのでしょうか」。

 そんな励ましを受けて、努力型の吹雪ちゃんは出撃の朝にも一人で訓練。そこへやってきた赤城先輩は弓道の「正射必中」という言葉を用いて、訓練すれば結果は必ず出ることを伝えるのです。

 ここへ赤城先輩がやってきたのは、睦月ちゃんがお願いしてくれたから。二人はお互いに「どうしたら恩返しできるのかな」と語り合います。そんな二人に赤城先輩は「ありがとうと思っていることを素直に」と、また教えるのでありました。

 その言葉通り、出撃を前に睦月ちゃんは如月ちゃんに告げます。

「この作戦が終わったら話したいことがあるんだ」

「あら、愛の告白かしら」

 冗談っぽく振る舞いながらも、睦月ちゃんは「わかったわ、約束ね」と告げて出撃するのでありました。

 場面は代わって、敵との最前線へ。まずは敵の様子をうかがいながら岩場に隠れて、神通から役割分担の指示。このシーンで、那珂ちゃん(CV:佐倉綾音)は指で眼鏡をつくって敵の様子を伺っているのですが、艦娘はこれで遠くが見えるのか、気になります。

 作戦行動中だけど、夕立ちゃん(CV:タニベユミ)に「大好き」と感謝の言葉を伝えたりしている睦月ちゃん。でも、神通型三姉妹は早くも危険を感じています。水偵(水上偵察機)が帰ってこないのです。

 そう、すべては深海棲艦に読まれていた。いきなり空から攻撃を受けて、みんなピンチです。

 司令室で報告を受けた長門さん。「馬鹿な」と口走りますが、作戦は続行。敵艦隊を食い止めるため、第四戦隊も動き始めます。

「帰るんだ、みんなと一緒に」

「絶対に一緒にお家に帰りましょう」

 と、自ら死亡フラグみたいな言葉を吐く睦月ちゃん。でも、実際に今回の戦闘はヤバいです。敵艦に魚雷を一斉射しても、敵艦載機はすべて潰します。どれだけ強いんだよ、深海棲艦……。

 いよいよ、ピンチに陥った第三戦隊を救ったのは……水平線の向こうから飛んできた三式弾。そう、遠征に出ていた金剛(CV:東山奈央)らの高速戦艦が、間に合ったのです! 三式弾は日本海軍が開発した対空砲弾で、発射すると空中で焼夷弾子と非焼夷弾子が炸裂して敵航空機を撃ち落とすというもの。現実では思ったほどに成果のなかった三式弾ですが、この作品世界では違います。一気に深海棲艦は撃滅され、退却を図るのです。

 ホッと安堵する艦娘たち。

 如月ちゃんも「髪の毛が潮風で痛んじゃう……」と言いながら、胸をなで下ろします。しかし、三式弾の猛攻から逃れた敵機はまだ残っていたのでした……。

 かくて帰投した吹雪ちゃんたち。励ましをくれたみんなが拍手で迎えます。如月ちゃんの姿が見えないことを聞いた睦月ちゃんに、利根は「まだ、帰っておらんようじゃの」と言います。いち早く出迎えて「大好きだって、言うんだ」と、岬へと走る睦月ちゃんと吹雪ちゃん。その頃、長門さんは提督に悲しい戦果を告げているのでありました。

 いや、第二話の流れから「なんだ、結局雰囲気アニメかよ」と思っていたので、驚きは隠せません。サブタイトルの時点から、実況する提督のみなさんからは「睦月があぶない」という死亡フラグ! 

 ネット上では「うーん、物語上轟沈させた理由がわからん…演出的に轟沈させられた感あった」「途中をすっ飛ばしていきなり11話を見たような気分」と、唖然呆然のツイートが溢れかえっていました。実は生きているんじゃないか、などなどのツイートで必死に正気を保っている提督もいますが、ほぼ呆然です。正気を保つために「次回は金剛回か」と言うのが、精いっぱいのようなのです。

 そりゃあそうでしょう。今後、自分の嫁艦が轟沈するんじゃないかという恐怖が生まれたのですから。

 でもね、勝利は犠牲なくしては得ることができない。『艦これ』の世界が、提督と艦娘がキャッキャウフフしている世界ではなく、勝利のために膨大な犠牲を払わざるを得ない世界だということを第三話は教えてくれたのです。そう、これは戦争なのです。犠牲なくして勝利などないのです。

 これまで『艦これ』の世界の残酷な側面を捉えていたのは、pixivの「本当は怖い艦これ」タグでアップロードされている二次創作の作品群でした。けれども、そこを描かずして勝利も登場人物たちの成長もあり得ないことを、制作陣は決断したのです。なにより叩かれ覚悟なのに仕事している脚本の吉野弘幸氏は、脚本家の鑑ですね。

 今後もきっと、多くの艦娘たちが散っていくことでしょう。でも、アニメで艦娘が散れば散るほど、ゲームプレイ中は「この娘たちを決して轟沈させはしない」という思いが強くなるのです。

 それにしても、まったく画面に出ないこの作戦の提督。敵が空母を引き連れている可能性を考えずに、水雷戦隊のみで出撃。長門さんの判断で金剛らを向かわせるけど、とりあえず手持ちの水雷戦隊だけで対処とか。もうね、相当の無能ですよ! 早くコイツを更迭すべきだと主張しつつ、今週は軍歌『海ゆかば』と共に如月ちゃんを送りましょう。

(文/昼間 たかし)

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