このまま王道展開に突入? 少女の青春物語的な『艦隊これくしょん -艦これ-』第二話

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『艦隊これくしょん -艦これ-』
第2話「悖らず、恥じず、憾まず!」

 
【今週の極私的見どころ!】

「夜戦主義」どころじゃない川内

太平洋戦争中、夜戦でめざましい活躍したゆえに、ゲーム本編でも夜戦になると大喜びする川内(CV:佐倉綾音)。ゲーム内の執務室には「夜戦主義」と書かれた掛け軸を設置することもできます。そんな彼女が、夜を愛して止まない様が、今回は改めてクローズアップされました。でも、冒頭で明け方眠そうにしていたシーンはあったけど、ほかのシーンでは午前中でも元気そう。おそらく、かなりのショートスリーパーなのでしょう。24時間働けそうな彼女は、作戦行動に相当便利な艦娘に違いないと、納得しました。

【今週のオススメ度】
★★☆☆☆
(前回のあらすじはこちら

 さて、前回の出撃では戦果を上げるどころかピンチに陥ってしまった吹雪ちゃん(CV:上坂すみれ)が、やればできる艦娘(かんむす)を目指して頑張るのが、今回のお話であります。

 冒頭、駆逐艦たちは足柄さん(CV:種田梨沙)を講師に授業を受けております。いつの間にか「男運がない」という設定が公式化しちゃった足柄さんは、昨日の合コンがイマイチだったらしく、ちょい不機嫌。宿題をやってない夕立ちゃん(CV:タニベユミ)が、ソロモンの悪夢もどこへやらで、ビビるほどです。

 そんな授業の内容は、九三式魚雷についてです。足柄さんの九三式魚雷に関する問いをすらすらと述べて、学業は優秀であることを見せる吹雪ちゃん。

「知識は十分なのに」と、足柄さんも嘆息します。

 ここで気づいたんですが、こんな基礎教育をしているあたり、どうやら鎮守府というのは深海棲艦との最前線なのに、慣熟不足でも配置されるみたいです。相当、ヤバいな……人類。

 それはともかく、実技指導の利根(CV:井口裕香)と筑摩(CV:井口裕香)も吹雪ちゃんのやる気の空回りには困り顔です。「あの子は、トップヘビーだから」と、筑摩は言います。解説しますと、吹雪ちゃんは吹雪型駆逐艦の一番艦です。計画時に特型と呼ばれた、このタイプは第一次世界大戦後にワシントン海軍軍縮条約に加盟した日本が、条約の対象外である駆逐艦の戦力強化を狙って開発したものです。砲塔と艦橋にも屋根が付き、武装も強化。艦体は軽量で速力も抜群の言うことなしの駆逐艦です。でも、船体強度よりも武装を重視した結果、えらくバランスが悪く荒波に弱くなってしまいました。史実では、昭和10年に台風も構わず突き進んだ海軍艦艇が大被害を被る第四艦隊事件というのも起こっています。この時、吹雪型は艦体切断が二隻という大損害を受けました。

 こうした史実が反映された吹雪ちゃん。スペックは高いし、やればできる子なんでしょうけど……とにかく実技は、広い海の上なのに、柱に激突しちゃうほどダメダメです。

 こんな吹雪ちゃんを鎮守府に配備した提督に、神通(CV:佐倉綾音)は「提督は、なにを考えているのでしょう」と心配顔。そこに現れた長門(CV:佐倉綾音)は「これからの艦隊に必要な特型駆逐艦」と語るのです。 

 ちなみに、長門が登場すると、みんな一斉に敬礼です。どうやら鎮守府では戦艦かつ秘書艦が一番偉いみたいですね。

 さて、憧れの赤城先輩(CV:藤田咲)に助言を仰ごうと、吹雪ちゃんがやってきたのは、ドック……。いや、どう見ても銭湯、女湯です。うん、この世界では「ドックに入渠」とは“入浴”とイコールのようです。

 というわけで、視聴者の皆さんお待ちかねのお風呂シーンはサービス満点。愛宕(CV:東山奈央)は、自慢のおっぱいが吹雪とごっつんというまったく意味のない登場を。さては女湯は大賑わいか! と期待したんですが、メインは吹雪ちゃんの入浴です。

 そこで入渠残り時間15時間だった赤城さんは、高速修復材(通称バケツ)を浴びて修復完了。吹雪ちゃんに、テラ盛りカツカレー(ゲームをプレイすると一目瞭然ですが、赤城さんは燃料などの消費が半端ない=大食らいです)を食べる姿を見せつけて元気をプレゼントします。ちなみに、高速修復材は緑色でなんかスライムみたいなんですけど、なぜこの色に?

 さて、昼間の訓練で心配になった川内、神通、那珂ちゃん(CV:佐倉綾音)は、それぞれ吹雪ちゃんに特訓することに。夜にやってくる川内の特訓法は、ボールの上に乗ってバランスを取る訓練。映画『少林寺三十六坊』以来、転がるものの上に乗ってバランス訓練は、特訓の基本といっても過言ではありません。明け方まで続いた訓練を終え、寝ようと思えば、今度は神通がやってきて、射撃訓練。放課後(?)は、那珂ちゃんが「アイドルは、スマイル、パワー、キュート」と、なぜか自分と一緒に歌うようにと。「いかに、アイドルになれるか。それが旗艦、秘書艦になるために必要なこと」という那珂ちゃんの説明は、妙に説得力があります。

 北上(CV:大坪由佳)さんと大井(CV:大坪由佳)さんの魚雷レクチャー(大井さんは、北上さんとの時間を邪魔されて、むくれてるだけですが)なども経て、演習では、多少特訓の成果を見せた吹雪ちゃん。

「あのような心のきれいな子には、第三水雷戦隊に旗艦としていてほしい」と素直に成長を感動する神通は、とってもいい先輩ですね。かくて、その成長を見届けた長門さんは、川内、神通、那珂。そして、吹雪ちゃんと睦月(CV:日高里菜)、夕立に出撃を命じるのでありました。
 
 どう見ても及第点ギリギリ。そんな吹雪ちゃんを出撃させるなんて、この鎮守府は「捨て艦戦法」(ゲーム中でレベルの低い艦娘を轟沈前提で身代わりにする戦法……筆者は絶対にやらない派)もいとわない、ブラック鎮守府なのでありましょうか。そんな心配が募るのは、多くの提督も同じみたいです。Twitterでは「容赦ない新兵虐め。帝国海軍の闇を感じた」という秀逸な書き込みもありました。また、放映後に『ジパング』(講談社)の辻政信(実在の日本陸軍参謀。部下を捨て駒扱いする人物の代表格)のキャプチャ画像つきのツイートが、やたらと目立っている印象です。みなさん、艦娘たちが気づかない鎮守府の闇に気づいているようですね。

 こうして、なにやら少女の青春物語っぽくなってきた第二話。どうも気になったのは、本編に関わらない艦娘たちです。背景にも、多数の艦娘が描かれているわけですが、どうも作画に「?」が点滅します。「2話目にして8話目みたいな作画はどうにかならないんですかね」というツイートを見つけましたが、これは皆さんの想いを代弁したものでしょう。

 また、このまま、試練→努力→成長の王道的展開で物語は進んでしまうのはないかという不安も募ってきました。もし、そうだとしたら、日本海軍の艦艇の擬人化である艦娘たちへの提督の想いを消化しきれるとは思えないのです。史実とリンクしているからこそ、艦娘たちへの愛は高まるもの。テキトーに艦娘を出しておけば、萌えて満足するというものではありません。 来週は出撃だというのに「おお、来週も録画じゃなく、TVの前に待機だ」「楽しみだなあ」と盛り上がらない。それは制作陣の意識に何かが欠けているからだと思うのです。

 来週以降の、熱い展開、泣ける展開を期待しつつ待ちましょう。今週は「祈りをあげながら聴け  鳴り出すサイレンを あれはアメリカ弔らう歌だ」(「アメリカ爆撃」)とでも歌いながらね。
(文/昼間 たかし)

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