『ガンダム Gのレコンギスタ』 「ガンダム」という言葉の登場で、物語はいよいよ核心へと迫るのか?

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第16話「ベルリの戦争」

【今週の極私的見どころ!】
 第2クールに入り、これまでの謎がどんどんと解明されている『Gレコ』。ラライヤ(CV:福井裕佳梨)の秘密、G-セルフの正体など怒涛のネタばらしが展開した前回に続いて、今回はさらに急展開。なんとベルリ(CV:石井マーク)とアイーダ(CV:嶋村侑)が姉弟関係ということが発覚します。さらに、二人はドレット家と対立していたレイハントン家の王子・王女ということも明らかになります。

 これまでの人生観がひっくり返るような真実と、せっかく知った初恋を台無しにされたという非常事態に、優等生・ベルリはかつてないほど大荒れに荒れるのです。このままベルリは闇堕ちするのか? それとも“元気のGは始まりのG”ということで、持ち前の明るい性格で乗り切るのか? 一寸先も読めないジェットコースター・ドラマな16話です。

【今週のおすすめ度】
★★★★☆
(前回のあらすじはこちら

 前回、トワサンガの居住施設・シラノ―5に入港したメガファウナ。そこでラライヤのお隣さんというフラミニア(CV:玉川砂記子)たちに誘われ、森を抜けるベルリたち。彼らの目の前に姿を現したのは、想像以上に自然にあふれる空間でした。ちょっとしたカルチャーショックを受ける一行ですが、さらなる衝撃が彼らを襲います。一行を出迎えたミラジ(CV:梅津秀行)とロルッカ(CV:谷昌樹)は、ベルリとアイーダを「姫様、皇子」と呼びます。

 視聴者はもちろん、当人たちもいきなりすぎる展開に「ポカーン」。ノレド(CV:寿美菜子)は「なんだとて?」と不思議なリアクション。視聴者コメントも、「え?」「衝撃の真実w」と動揺が隠せません。放送前のインタビューで、すでに富野監督の口から二人は姉弟関係だとバラされていましたが、ここで唐突にバラされるとは……。

 また、ここではレコンギスタ(地球帰還作戦)推進派のドレット派閥と、帰還は早すぎると反対するレイハントン派閥が存在すること。ドレット家から命を狙われることを想定して、ベルリとアイーダは幼い頃に地球に亡命させられ、捨て子として処理されていたことが判明します。二人を捜したかったレイハントン派のミラジたちは、ドレット艦隊の事前偵察用MSとして採用されたG-セルフに、「レイハントン・コード」を識別し、レイハントンのDNAを持つもの以外には操縦できないシステムを搭載していたことも明かされます。

 感極まっているせいなのか、ミラジもロルッカもアイーダも、何か話すたびに涙を流しているのですが、G-セルフによって過酷な運命に絡め取られてしまったことにアイーダはどうやら怒りを抑えきれない様子。G-セルフに乗れたせいで恋人・カーヒル(CV:森川智之)を殺され、またベルリは彼を殺す羽目になった。どんな思惑がレイハントン派の人々にあろうとも、生きる目的は自分で探すと宣言します。しかし、これはベルリにはたまらない発言です。

 以前、アイーダに対して「恋を知った」と口にした彼。衝撃の真実で、アイーダは実の姉であるがゆえに恋人になれないうえに、これまで恋人かどうかうやむやだったカーヒルが、ここで恋人だったと確定。さらに、彼を殺してしまったという過去の傷をえぐられる、というかなり痛い3コンボ。視聴者も「これショックすぎるだろww」「中古確定」とざわついています。ともあれ、一見素直に事態を受け入れ、今後の行動に思いを巡らせるベルリたち。……と思いきや、そんなに簡単にものごとは動かないわけです。
 
 一方、キャピタル・アーミィの戦艦・ガランデンもトワサンガに入港。よく見ればシラノ―5の向こうには、『ガンダム』伝統の円筒型スペースコロニーが見えています。宇宙世紀時代から、ずっと存在し続けるコロニーでしょうか。

 ここで久々のマスク大尉(CV:佐藤拓也)とバララ(CV:中原麻衣)が登場。マスクは、トワサンガに一度降伏して見せて、そこからドレット艦隊との協調路線を取ることを画策します。前回、クリム(CV:逢坂良太)が企図した作戦そのまま。う~ん、もしかすると終盤、クリムとマスクが新勢力となる展開もありえるかも……。そんな伏線を思わせつつ、バララもまた何か底知れぬ悪意を感じさせる笑みを浮かべます。キャピタル・アーミィに不穏な空気が流れます。

 そのクリムも、ミック(CV:鷄冠井美智子)と何やら不穏なやりとりを交わします。ドレット艦隊と連合を組んだ後、アメリア政権を奪取する……と、ずいぶんと物騒な野望を語る二人。各勢力の思惑が複雑に絡み合います。

 と、ここで注目なのがシラノ―5の宇宙港の描写です。宇宙空間と施設内を仕切るのが、ゼリー状の隔壁。戦艦やMSは、そのゼリー状の壁を突き抜けるだけで宇宙空間に出ることができるという、これまでのガンダムワールドにはないアイデアです。解説なしで物語は進行していましたが、どういう原理になっているのか非常に気になりますね!

 そんな中、ベルリは「ガランデンに事情を聞きに行く」と無茶な理由から、G-セルフで宇宙に飛び出してしまいます。そのコクピットの中で、彼はいきなり知らされた出生の秘密やG-セルフの正体について、これまでため込んだ苛立ちを爆発。その鬱憤を晴らすかのように、トワサンガのMS部隊と交戦します。ここで敵MS・ザックスが放ったのは、電磁網。まるで『Zガンダム』のMS・ハンブラビが使っていた海ヘビのような兵器です。一度は絡め取られるものの鬼神のごとき強さで敵を撃退するベルリ。前回もそうですが、ますますニュータイプ覚醒が進んでいる様子?

 また、ザックスのパイロット・ガヴァン(CV:稲田徹)は、G-セルフの姿を見て「ガンダム」と口走るのです。「ついにガンダムというワードが」「ガンダム言った」などなど、前回のニュータイプ発言以上に盛り上がる視聴者コメント。いよいよ物語も核心に迫ってきた感があります。……が、もしかしたらセリフに出るだけで、それ以上何も触れない可能性もなきにしもあらず。そんな予感を感じさせつつ、戦闘は終了。

 ここで注目したいのが、「傷付けただけです。パイロットに何かあったなんてこと、それはしてませんよ!」とアイーダに弁解するベルリです。よっぽどカーヒルを殺したことでアイーダに責められたことが効いているのか。そして、そのことを先ほどのアイーダの発言で思い出してしまったのか。これまでなんでも余裕綽々でこなしてきたベルリですが、急に人間臭いリアクションを見せるようになってきました。戦闘終了後も、シラノ―5を見て「本当にあんなのを故郷にしなくちゃならないのか!」と現実を受け入れきれない様子。想像以上に、アースノイド(地球に住む者)的な思想に染まっているベルリです。しかし、考えてみればこれまで地球人として生きてきた彼が、いきなり宇宙で生まれた名家の遺児と言われて納得できるはずもありません。

 今回のエピソードでは、Aパートでは状況を素直に受け入れていたのに、Bパートで急に切れるベルリは意味がわからない、というようなコメントもネット上にありましたが、最初はなんとなく受け入れていた物事も、冷静に考えていくうちにだんだんと受け入れがたい気持ちになってくるという状況は、誰しも少なからず経験したことがあるはず。そういう意味では、これまで素直な優等生として生きてきたベルリが、劇中で初めて見せた人間臭い表情だと言えます。

 とはいえ、怒っている時は怒っている、敵と対峙している時は敵対心をむき出しにする、というようなストレートな表現が多いアニメにおいて、こういう微妙な人間の機微を描くのはなかなかに難しいのかもしれません。しかし、何度も見直すうちに、なんとも言えない良い味わいを醸すこのシーンは、『Gレコ』の名場面といってもいいかもしれません。僕はかなり好きです。

 しかし、最後に「何がレイハントンだ」と吐き捨てるようにつぶやくベルリの表情は、かなりやさぐれている様子。優等生な彼にとって、不条理すぎる世の中は許しがたいものなのかもしれません。このまま彼は、世界を憎んだまま闇堕ちしてしまうのか。はたまた、現実を乗り切り明るい主人公として復帰するのか。それはまだ誰にもわかりません。

 こんな風雲急を告げる『Gレコ』16話でしたが、次回はなぜか宇宙でごみ掃除をすることになるそうです。シリアスなドラマと身近なイベントが同居する本作ですが、あと10話で本当に決着がつくんでしょうか。色々と楽しみでもあり、不安でもあります。ちなみに次回予告の決めゼリフは「話、分かりたければ見るしかないでしょ!」でした。
(文/受動 明日)

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