『ガンダム Gのレコンギスタ』 考えさせられる演出も…“ニュータイプ”発言に、ファンも侃々諤々

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『ガンダム Gのレコンギスタ
第15話「飛べ! トワサンガへ」

【今週の極私的見どころ!】
 いよいよ月面にあるコロニー・トワサンガへと旅立ったベルリ(CV:石井マーク)たち。地球を裏から支配してきた黒幕の本拠地に乗り込むということで、一同は緊張……かと思いきや、その反対。MSの性能をフルに発揮できる宇宙空間での戦闘に、地球陣営のパイロットのテンションは上昇。ベルリに至ってはニュータイプ疑惑も出現。そしてついにたどり着いたラライヤ(CV:福井裕佳梨)の故郷とは……。

 地味ながら、キャラクターの精神面で、ある意味ターニングポイントとなったエピソードだと言えます。

【今週のおすすめ度】
★★★☆☆
(前回のあらすじはこちら

 地球勢が一斉にトワサンガへと飛び立つシーンで終えた2014年末の14話に続き、年明け一発目の15話は、月へと向かうサラマンドラ&メガファウナのアメリア軍勢力と、それを追うマッシュナー(CV:たかはし智秋)率いるドレッド艦隊の追撃戦からスタートです。

 まず、メガファウナではすっかり本調子に回復したラライヤが、今まで謎とされていた事情を次々と明かしていきます。G‐セルフの本当の名前は、正式採用されなかった試作機「YG-111」だということ。トワサンガには、地球にフォトンバッテリーを提供したいドレッド家と、それに反対するレイハントン家の対立があったということ。そのレイハントン家が、地球にフォトンバッテリーを限定供給させるために、ヘルメス財団に技術を独占させていたこと。また、ラライヤは、本来、先遣部隊として地球に降下した後、ドレッド艦隊の到着を待つ予定だったこと。と、同時に地球に降りたレイハントン家の末裔を見つけることが目的だったと明かされます。

 ここで、第1話から出ていた「レイハントン・コード」の意味がなんとなく見えてきます。G-セルフは、レイハントン家の血を引くものにしか動かせないのでは? ということは、ベルリ、アイーダ(CV:嶋村侑)、ラライヤは同じ家系の人間なのでは? と同時に、なぜラライヤは地球側の味方のままでいるのだろう、という疑問も湧いてきます。もしかしたら『∀ガンダム』のロランみたいに、月の人間は地球に平和的に入植するから仲良くしてもOKみたいな考えなのかもしれません。ラライヤの謎は、まだまだ尽きません。

 ちなみにこのシーンでは、『Gレコ』初のシャワーシーンが描かれました。そのモデルは……ベルリ! 男子のシャワーシーンはファーストガンダムからの伝統です。この一点を見ても、『Gレコ』が正統なガンダムシリーズだとわかるはずです! また、ラライヤがすっかり回復したことで、それまで保護者的な立ち回りをしていたノレド(CV:寿美菜子)が逆に引っ張られている感じが出て、おかしいですね。「ノレドが子離れできない親状態っぽくて笑ったw」と、立場がひっくり返った二人の姿を微笑ましく見ている視聴者の声もネットで散見されました。

 さてさて、そんなこんなでドレッド艦隊のマッシュナー率いるMS部隊がアメリア軍の追撃戦を開始します。アサルトパックで出撃するG‐セルフ。その性能もさることながら、前回ラストにアイーダから「男になってくれ」(大意)とお願いされたベルリも奮戦。無双状態で、エルモランを操縦するロックパイ(CV:平野潤也)たちを翻弄します。この戦いの中で、「YG-111」はモランと競って不採用になったと思しき発言がトワサンガのパイロットの口から明らかになりました。どうやらモランとG‐セルフはライバル機といえる関係なのかもしれません。そんな因縁深い敵機をビシバシ撃退していくベルリ君。その戦いぶりに、ロックパイは「殺人鬼か?」と驚き、さらに「伝説のニュータイプ」という衝撃的な発言をします。

“ニュータイプ”とは、ガンダムファンなら言うまでもないワードですが、ファーストガンダムで「人類の革新」と呼ばれた新人類のことです。いまだその定義が確定してはいないのですが、ざっくりいうと「すごい空間認識能力とエスパー的な直観のおかげで、めっちゃ強いパイロット」みたいな感じです。『機動戦士Vガンダム』『∀ガンダム』など、90年代半ば以降は明確にニュータイプ描写する富野ガンダム作品が少なくなったため、改めてニュータイプという言葉が劇中に登場したことで、視聴者の間にも動揺が走ったみたいです。「ついにニュータイプ発言きたあああ!」「ベルリはニュータイプ?っていうのを聞くと、なんか安心した……」「Gレコにもニュータイプの概念残ってるんだ、絶対ニュータイプって名前出さないと思ってたから意外」と、さまざまな感想がネット上に飛び交いました。果たしてこれはただのファンサービスなのか。それとも、今後の伏線なのか。非常に興味深いところです。

 また、今回のエピソードで注目すべきは、地球勢がかつてないほど攻撃的な性格になってきたということです。まあ、もともとクリム(CV:逢坂良太)やミック(CV:鷄冠井美智子)は好戦的な傾向がありましたが、やたらとMSの性能を自慢したり、宇宙世紀の技術に感嘆しつつ月勢力のMSを撃破していく様を見ると、「まるで地球側のほうが侵略者のようだ」と思えます。

「死ぬんじゃないぞ! 撃っちゃうから」「誰も死ぬなよ」と言いつつ、敵に向けてビームを撃ちまくるベルリも気になります。その性能に、笑顔を浮かべたり、はたまた非常に冷たい目つきにもなったりもします。アイーダに「戦士」として認められたこともあるのでしょう。ニュータイプへの覚醒もあるのでしょう。しかし、それ以上に「戦うこと」に慣れすぎ、ゲーム的になってきているようにも見えます。ロックパイがベルリの戦いぶりを見て「殺人鬼」と評したシーンは象徴的です。

 極めつけは、あれほど金魚のチュチュミィを大事にしていたラライヤが、元に戻った途端にそれを放って、モランで出撃してしまったシーンです。誰もが戦争という状況の中で変化していく様は、地味な演出ながら、なかなかに考えさせられるものがありました。あとは、ラライヤがリンゴ(CV:浅沼晋太郎)と謎の接触をしていたシーンも気になりました。彼女、まだ何か隠してますね、きっと。

 Bパート終盤は、ついにトワサンガに入港。ラライヤの故郷というスペースコロニー・シラノ-5に潜入します。街にMSで入ったクリムたちは、電磁ネットで捕獲されてしまいました。どうやら彼らは、トワサンガ政府とは敵対しているレジスタンスらしいです。一方、ベルリたちはラライヤと共に雑木林に降下。そこで、ラライヤのお隣さんというフラミニア(CV:玉川紗己子)という女性と出会います。彼女は、ベルリとアイーダを見て「会わせたい人がいる」と発言。思わせぶりな言動が気になりますが……。ここで次回に続きます。

 今回、作画監督を務めたのはNPO法人アニメーター支援機構が開催している「新人アニメーター大賞」で大賞を受賞し2012年にデビューしたばかりの若手アニメーター・玉川真吾でした。単独で作画監督を務めたのも今回が初めてのようですが、その仕上がりは繊細にして大胆、という言葉がぴったりの迫力満点の作画でした。特に、戦闘シーンでのベルリやロックパイの鬼気迫る表情は圧巻。今後の注目アニメーターと言ってもいいでしょう。

 最後に、次回予告では「ベルリとアイーダが●●」という壮大なネタバレをやらかしてくれた『Gレコ』。これぞ富野アニメ! 安定のクオリティに、最後に爆笑させていただきました。ちなみに恒例の最後の決め言葉は、「理不尽というのはこういうことだ」でした。

(文/受動 明日)

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