男臭い戦いか、美少女との恋愛か？制作陣の舵切りに興味津々『白銀の意思アルジェヴォルン』【第一話レビュー】

編集部

2014.07.10

――ジメジメ蒸し蒸し、鬱陶しい梅雨空と台風をスカッとアニメでぶっ飛ばせ！　7月より放映開始された2014夏の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ　闇夜の千本ノック」！　※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【3日（木）編】

■『白銀の意思アルジェヴォルン』
第1話「遭遇」

『白銀の意思アルジェヴォルン』公式サイトより。

　AIOS原作、大槻敦史監督、シリーズ構成・佐藤竜雄、制作会社・ジーベックによるロボットアクションアニメ。

　未来の地球。アランダス連合王国の資源を欲する隣国インゲルミア諸国統合体は民衆の開放を謳って宣戦布告。新兵トキムネの所属するアランダス独立第8部隊は、山中で民間人を襲撃するインゲルミア軍と遭遇。命令を無視して飛び出したトキムネは、トレーラーに隠された最新マシン・アルジェヴォルンと女性技師ジェイミーと出会う。この偶然の出会いによって二国の戦局と第8部隊の運命は大きく動いてゆくのだった、

　今期注目のリアルロボットアニメ枠である本作。気象変動で空を飛ぶことが出来なくなった未来が舞台ということで、登場する機動兵器『トレイルクリーガー』は陸戦車両や戦車を思わせる無骨なデザイン。インゲルミア軍の制服がクラシカルなデザインだったり、敵対する二国を隔てる巨大城塞グレート・ウォールをめぐる戦いがフランスとドイツ国境に作られたマジノラインの攻防を思わせたりと、全体的に第二次大戦のヨーロッパ戦線をイメージしているのかな？　と感じました。

　前半Aパートは、長く続く戦闘で疲弊した兵士の様子や前線を見捨てて逃亡する政治家や上官など、硬派な戦場描写が続き、後半では偶然出くわした輸送中の秘密兵器に新兵が乗り込んで大逆転するという、実にガンダム以来の王道パターンが展開。とは言うものの、主人公機となるアルジェヴォルンはほかのトレイルクリーガーと異なり、全身シルバーで人間的プロポーションの実にヒロイックなデザイン。武器を使わずジャンプキックで敵を一発撃破など、戦い方もスーパーロボットのようです。うーむ、この世界のリアリティレベルはどのあたりにあるのだろう？とちょっと不思議に思ってしまいました。

　しかし、シリーズ構成の佐藤竜雄さんは『機動戦艦ナデシコ』『輪廻のラグランジェ』『モーレツ宇宙海賊』など、数多くのロボットアニメ・メカアニメに携わってこられたベテラン演出家。特に女の子キャラの微妙な心情を描くことに定評があります。大槻監督は『To LOVEる』シリーズや『WORKING’!!』（2期）といった美少女アニメを手がけた演出家。

　このお二方がメインで携わっておられるということは、主人公を取り巻く女性キャラとの恋愛模様が中心となるのか？　それともあえて得意ジャンルを捨て、男臭い戦場バトルロマンを描くことにチャレンジするのか？　先の展開を興味深く見届けたいと一作だと思います。

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『機動戦士ガンダム MS IGLOO』『フルメタル・パニック！』

（文／出口ナオト）