「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」【2014年 夏】

早くも聖地巡礼マニア殺到! 青春恋愛の裏に潜む不穏な空気が気になる『グラスリップ』【第一話レビュー】

――ジメジメ蒸し蒸し、鬱陶しい梅雨空と台風をスカッとアニメでぶっ飛ばせ! 7月より放映開始された2014夏の深夜アニメの第一話をレビューして、オススメ作品をコンセルジュする連載「深夜アニメ 闇夜の千本ノック」! ※放送日などは全国ネット及びTOKYO MXに準拠します。

【3日(木)編】

■『グラスリップ
第1話「花火」

1407_1r_glass.jpgグラスリップ公式サイトより。

 カゼミチ原作、西村純二監督・安斎剛文副監督、アニメ制作P.A.WORKSによるオリジナル企画アニメ。

 美術部所属の深水透子はカフェ「カゼミチ」を友達とのたまり場にしている高校3年生。ある晩、友人の高山やなぎと出かけた花火大会の縁日で不思議なメガネを手に入れる。そのメガネをかけると、「やっと見つけた」と聞き覚えのない声が聞こえるのだ。数日後、透子は夏休み中の学校で転校生と名乗る少年・沖倉駆と出会う。その声はどこかで聞いた気がする……。駆との出会いから、透子は次第に「未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう?」と考えるようになってゆくのだった。

 良くも悪くもP.A.WORKSオリジナル作品といった印象の強い本作。穏やかな田舎の風景に癒やされる明るい青春恋愛ものと思わせておきながら、時折見せるキャラの表情や噛み合わない会話など、端々に不穏な空気を感じさせる演出が気になります。ニワトリのジョナサンをめぐるドタバタ騒動は、ギャグと見せかけて大きな隠喩が示されている感じも(学校での透子と駆の会話に注意してみてください)。美しい花火や情景の丁寧な描写にも何かの暗示が隠されているのではないか? と思わず二度目三度目と見返してしまうのは、すでにハマってしまった証拠かも(笑)。ただ、ぱっと見の印象が直前まで放映していた『凪のあすから』に似てしまうのはややマイナスかも知れませんね。

 既出の記事などで、本作には物語中に“未来予知”などのSF・ファンタジー要素が盛り込まれていることが示されています。そこも踏まえて考えるとタイトルの由来は『グラス=縁日のメガネ=ガラス工房の娘・透子』と『タイムスリップ』の合成なのではないでしょうか? ガラスの力で時間を越える……がテーマ? この推論が正しいかどうかは今後の視聴で皆さんが確かめてくださいね。

 ところで、本作の舞台は福井県坂井市近辺がモデルとされ、早くも聖地巡礼マニアも押し寄せている模様。実はこの近くには自殺の名所として有名な東尋坊も存在します。この東尋坊が作中に登場するような、とんでもない衝撃的鬱展開にならないことだけは心から祈りたいものですね!

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TARI TARI』『時をかける少女

(文/出口ナオト)

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