鬱展開の前振りか? 爽やかな終わり方に邪推の声も上がる『M3~ソノ黒キ鋼~』

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『M3~ソノ黒キ鋼~
第10話「君ノ歌」

1406_m3_10.jpgM3~ソノ黒キ鋼~公式サイトより。

【今週の極私的見どころ!】
 破先エミル(CV:日笠陽子)の健気さに思わず泣きそうになりました。最後に見せた姿の美しさは、いまわの際の輝きでしょうか。壮絶な美しさと儚さで視聴者を魅了したエミルは、やっぱり筆者の中で一番好きなキャラです。

【今週のおすすめ度】
★★★☆☆
(前回のあらすじはこちら

 ――幼い頃、あんたに背負ってもらって見上げた空の色は妙に心に残っている。ばかばかしいくらい青くて、たまらなく不快で……。

 行方不明の伊削ヘイト(CV:村瀬歩)とセーヴルを探すため、死神・アージェントに乗って、もう一度無明領域に足を踏み入れた鷺沼アカシ(CV:松岡禎丞)。無明領域を彷徨いながら、リムにいる兄・鷺沼アオシ(CV:檜山修之)に語りかけるように過去を思い出していました。そんな時、以前自分が生み出してしまったイマシメに襲われ、どれだけ破壊してもすぐ再生する敵を前にアカシは逃亡を余儀なくされます。

 しかし逃亡しようにもアージェントの中はアオシの記憶が充満し、アカシの意識と混同されて精神を蝕んでいきます。たまらずアージェントから降りたアカシは、自分の現実を再確認。そしてアオシが躯と対峙した時の記憶を鮮明に意識した時、「(躯を取り巻いている)あの光を吸っちゃいけない」というアオシの声を聞くのです。つまり屍鋼化が進んでいる出羽ササメ(CV:小岩井ことり)は、アカシを助けた際(第6話参照)に光を吸い込んでしまったということですね。

 イマシメから逃げ回りながら無明領域を彷徨っているうちに、アカシはヘイトとセーヴルを見つけます。生きてはいるものの精神崩壊しているヘイトを横目に、セーブルに触れてリムのエミルへ語りかけるアカシ。すると、「アカシ、ずっと会いたかったよ」と穏やかに微笑むエミルの思念体が現れます。ネットでは、視聴者から「またエミルに会えて嬉しい!!」「エミルーーーー!!!!」とエミルの再登場に歓喜の声が上がりました。

 しかし、エミルが「もう一度会えてうれし……」と言いかけた瞬間、エミルの姿は消え突如躯が現れました。身構えるアカシですが、躯は雄叫びをあげるとセーヴルを抱えてあっさりとその場を後にするのです。

 ――また一つ飲み込まれた。探しても探しても見つかるのは、知りたくもない想いのカケラ。

「弓月マアム(CV:福圓美里)の小説の一文」という体でナレーションが入りますが、つまりエミルの思念体は躯に吸収され、ヘイトも死んだということでしょうか? ネットでも「結局どういうこと?」とつぶやく視聴者が多く、筆者にも話の流れがよくわかりません。

 ともあれ、乗り捨てたアージェントの場所もわからなくなったアカシは、再び無明領域を放浪。パイロットスーツの屍鋼化が始まり、倒れ込んだその時――「帰るぞ」とアオシの思念体が現れます。それ以降、なんの反応も示さないアオシへ一方的に語りかけながら歩くアカシですが、それも長くは保ちません。無明領域の外で待機していたササメは、朦朧としながら倒れ込むアカシの危機を察知し「躯の歌」を歌ってアカシの精神を現実に引き戻すのです。ネットでは、聞こえるはずのないササメの歌によって救われた主人公の描写に対し、「ご都合主義なストーリー展開」だと辛口コメントが飛び交いました。

 なんとか意識を保ったアカシが再びアオシの後を追うと、乗り捨てたアージェントにたどり着きます。ここまできて、アオシが現れた目的に“今気づいた”といった様子のアカシに、視聴者は「この主人公察しが悪すぎる」「気づかないほうがおかしい」とコメント。確かにこのシーンは、「きっとアオシがアージェントまで連れていってくれるから着いていこう」という展開でよかった気がしますね。
 
 ともあれ、アージェントに搭乗して人心地ついたアカシは、束の間の安心感に浸ります。しかし次の瞬間、現れたのはアカシが生み出したあのイマシメ。アオシにずっと守られて生きてきたことを認め、自分の愚かさを悔いたアカシはアージェントと共振。覚醒したアージェントの重い連撃に、どんな攻撃しても倒れなかったイマシメが砕かれるのです。

アカシ「帰ろう――兄貴」

 初めてアオシを兄と呼んだアカシは、かろうじて屍鋼化も免れ生還。チームメイトに囲まれながら見上げた空は、かつてアオシに背負われて見た空と同じ、突き抜けるような美しい“青”が広がっていました――。



 視聴が終わって、ネットの第一声は「ヘイトさんは?」「ヘイトさんどこへ?」「ヘイト回収してやれよ」とヘイトの話題で持ちきり。コメントを見るに、ヘイト&セーヴルが躯に連れ去られたことに気づいていない視聴者も多いようです。画面が暗すぎて何が起きたかわからず、筆者も3回視聴して、ようやく躯の腕にセーヴルが抱えられていることに気づきました。まさかこのまま死亡確定のお知らせだけで終わるとは思えませんが……。

 妙に爽やな終わり方をした第10話に対し、「次回からの鬱展開フラグな気がしてならない」といぶかしむ視聴者もいました。「副題『蒼キ鋼心』【編注:第9話】がアオシの話なら、次回の『赤ノ慟刻』はまずアカシの話だな」と、アカシの過去話などが明らかになるのではとの予測も立てられています。果たして次回の『M3~ソノ黒キ鋼~』はどんな展開を見せてくれるのでしょうか? そろそろ予測を大きく裏切る展開が来ることを願っています。
(文/牧野絵美)

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