“嫌われキャラ”ほど愛される? 『M3~ソノ黒キ鋼~』の評価が上昇中

――毎日、何本ものアニメが目まぐるしく放送されている現代日本。これだけ放送本数が多いと、見るのだって一苦労……。そんな悩める現代オタクのため、「おたぽる」がオリジナル作品を中心にテレビアニメ・レビュー! これさえ読めば、気になるあのアニメのあらすじから評判までがまるわかり!!※本文中には“ネタバレ”が含まれていますので、ご注意ください。

■『M3~ソノ黒キ鋼~
第9話「蒼キ剛心」

1406_m3_9.jpgM3~ソノ黒キ鋼~公式サイトより。

【今週の極私的見どころ!】
  鷺沼アカシ(CV:松岡禎丞)が初めて死神・アージェントの存在を受け入れ起動させるシーンは圧巻!! ロボットアニメらしい描写にアカシの心情を織り込む演出から作品のすごみを感じさせました。

【今週のおすすめ度】
★★★★☆
(前回のあらすじはこちら

 死神には兄・鷺沼アオシ(CV:檜山修之)の記憶が染みついている――。

 それを感じ取ったアカシは、アージェントには二度と乗らないと決心します。チーム・ガルグイユからも抜けることを宣言し、寮からも撤退。元々住んでいたアパートからもいなくなるつもりで身辺の整理をしていくのです。

 すべてを捨てるつもりで心を閉ざすアカシですが、出羽ササメ(CV:小岩井ことり)と話すことでまだ迷いが生まれていきます。自分の居場所はここにしかないのかと、自問自答しながらアージェントの収容された格納庫を訪れたアカシ。誰もいないと思っていた格納庫で、アージェントを見上げるアカシに「キミと死神は惹かれ合う運命なんだよ」と声をかけたのは、マッドサイエンティスト・夏入(CV:飛田展男)でした。回収してきたレコーダーに収まっていたアオシの最期の映像を見せたがる夏入に対し、もう真実を知っている自分に今さら映像を見せる意味があるのかたずねます。アオシへの嫌悪感を隠しもしないアカシに夏入は楽しそうな声で畳みかけます。

夏入「キミは彼(アオシ)の亡骸を見たの?」

 そしてさらに言います。

夏入「アオシくんが乗った白銀の精神保護システムは不完全だった。僕は最初から指摘してたんだけどねぇ。人間と共振するなら、人間を使うのが一番に決まってる!」

 アオシの調査失敗後、夏入の理論に基づいて出来上がったのが「リンカー・インターフェイス・モジュール」。つまりマヴェスのコアである「リム」のことだというのです。夏入はなおも、心底楽しそうにアカシへ説明を続けます。アオシが全身屍鋼化して生きて帰ってきたこと、そして夏入の誘いを快諾し自らリムになったこと……。

 次の瞬間、「(アオシと)会わせてあげるよ」と言った夏入がアカシに見せたものは、アージェントの頭部から取り出した楕円形の物体。その中に変わり果てた姿で収まっていたアオシの姿でした。このシーンで視聴者からは、「リムの中で、人がきれいに人形を保っていたのは予想外」「脳だけかと思っていた」と驚きの声が上がりました。筆者も脳だけだと思っていました……。その状態で生命維持がされているとは思えませんが、破先エミル(CV:日笠陽子)の復活劇もあり得そうですね。

 衝動的に夏入に怒りをぶつけるアカシですが、夏入は「僕は包み隠さずすべて話した」と言い、伊削ヘイト(CV:村瀬歩)とセーヴルのリムを無明領域内に置き去りにするのかと問い詰めます。セーヴルのリム――その正体が死んだエミルであると知り愕然とするアカシに、夏入はアオシの乗っていた機体・白銀から回収したレコーダーに残っていた、アオシの最期を記録した音声データを渡します。呆然としていたアカシの元へ、夏入と入れ替わりに訪れたのは阿倉カサネ(CV:前田愛)。やり場のない怒りをぶつけるアカシでしたが、カサネもまた「どんな形でもいいからアオシに生きていてほしい」と願ってしまった自分の過ちをずっと後悔してきたことを知ります。

 カサネとともに音声データを聞いたアカシは、死ねばいいと思っていた兄の苦悩を知り、初めて親近感を覚えます。次の日、アージェント不在のままセーヴル回収作戦を決行しようとしていたガルグイユの作戦室に、アカシが現れます。心配顔のメンバーたちをよそに、アカシの顔にもう迷いはありません。

 穏やかな顔でアージェントに乗ったアカシは、初めて苦しみもなくアージェントを起動アカシは、アージェントの中のアオシに語りかけるのです。

――あんた、俺に何をさせたいんだ。あんたの死を願っていた俺に。



 祝! おすすめ度、星4つ!! ネットでも「今回が今まで一番面白い!」「惰性で見ていたけど、今回でやっと2クールの最後まで見る気が起きてきた」となかなか良い評価が見受けられました。その一方で「リムが兄貴(アオシ)なのは結構前からわかっていた。話を引っ張りすぎ」「見ていて誰もがわかることを引き延ばして、ダラダラさせている」と、第8話でも指摘されていたテンポの悪さに閉口している視聴者は多かったようです。またヘイト然り、なぜか変態キャラが好まれる本作は、今回も夏入の声優・飛田さんを賞賛する声が多数上がりました。嫌われキャラが愛されるって、ある意味すごいアニメですね。

 第9話にしてようやく「主人公が格好よく見えてきた」とコメントされた『M3~ソノ黒キ鋼~』。ぜひ次回も、格好いい“主人公”と“ロボットアニメ”を視聴者に届けてほしいと思います!
(文/牧野絵美)

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