群雄割拠のソシャゲに大手メーカーも参入! 大混戦の最新ゲーム業界図

 そんな中、注目したいのが、ここ数年、コンシューマゲームメーカーが、こぞって無料のオンラインゲームやソシャゲ市場に参入している点だ。

 コナミは10年に『ドラゴンコレクション』をGREEに配信し、その登録者数は現在800万人を超えている。先述の『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』も、コンシューマ市場で『ドラクエ』の一大ブランドを確立したスクウェア・エニックスを配信元とするネイティブアプリで、14年1月23日の配信から1カ月で300万ダウンロードを突破した。

 参入の背景に、PCや据え置きゲームをやらない、スマホユーザーを標的にした新規顧客の開拓があるのは明らかだが、開発元が現在のコンシューマゲーム開発にビジネス的な限界を感じているという側面も忘れてはならない。繰り返すが、従来のパッケージソフトは、ハードの進化もあって開発費がどんどん膨れ上がっているため、リスク回避も含めて知名度のある大作の続編企画を作り続けるという安全策を取らざるをえない。新規の企画を走らせるのは、困難な状況なのだ。また、パッケージソフトは一度発売したらそれっきりのため、ソシャゲのようにユーザーの反応を見ながらより良い仕様に随時変更を加えていくことができないもどかしさがある。

 しかしソシャゲなら、ハイエンドなコンシューマゲームに比べれば製作期間や開発費を安く抑えられるため、新規の企画がどんどん試せる。リリース後にユーザーの声を反映してシステムを改善したり、マップを追加したり、発見されたバグを即座に修正したり、期間限定イベントを設定して盛り上げたりといった運営もより簡単にできる。また、基本的にユーザー登録制のため、ユーザーのプレイ動向や課金傾向といったデータを開発元が事細かに収集できる。「もっとも盛り上がるイベントのタイミングはいつか?」「もっとも課金してくれる状況はどのようなものか?」といった貴重なマーケティングデータが日々蓄積されるのだ。

 余談だがこの2月、任天堂の株主であるオアシス・マネジメントのファンドマネージャーは、任天堂の岩田聡社長に宛てた書簡の中で、モバイル機器向けネイティブアプリを開発するよう促したという。従来から「ゲームは子供のものなので、課金を促すようなものはNG」という姿勢を崩さない任天堂だが、業績不振を受けた株主からの要請にどう応えるのか、今後の動向は興味深い。

 こうした状況下で、大手コンシューマメーカーは今、オンラインの運営やソシャゲのゲーム設計ノウハウを持っている開発者の引き抜きに躍起。「基本的に転職で年収が下がることはない」(ソシャゲメーカー社員)そうだ。

 さらに、ソシャゲメーカーの社員が意外な会社に転職しているという話もある。「データマイニング能力を買われて、国内の一般消費財メーカーや広告代理店などに転職したという人の話をちらほら聞くようになりました」(オンラインゲームメーカー社員)。データマイニングとは、POSの販売データやレンタル店の貸出履歴、クレジットカードの利用履歴といったデータを解析し、データ間の相関関係や特定の属性を持つ個人の消費傾向を推測する技術のこと。ソシャゲにおいて、プレイヤーの動向を分析して最適な次の一手を打つのは、まさにデータマイニングそのものだ。「データマイニングは、外資系企業では以前から重要視されていましたが、ここ最近やっと国内企業でもその重要性に気付き始め、人材確保レベルにも降りてきたようです」(同)。

サイゾー 2014年 04月号 [雑誌]

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